Tani Yuuki 撮影:石丸敦章

ひとつの投稿が出会わせてくれた世界

LiSAの「紅蓮華」、DISH//(北村匠海)の「猫」をはじめ、人気アーティストの“一発撮り”が話題を呼んでいるYouTubeの人気コンテンツ『THE FIRST TAKE』の「THE HOME TAKE」への出演。再生回数は290万超え、名をはせるきっかけにもなった。

「この反響は大きかったですね。“出てることがすごいね”って言われました。はじめは僕も出られるとは思ってなかったんですよね。

でも、以前から出たくて自身が所属していたオンラインボーカルグループ、WHITEBOXが所属するソーシャルクリエイターレーベル「Be」の方に話したんです。そしたら話を通してくれたみたいで、“出れるんですか?!”って(笑)。ひとつ夢が叶いました。

TikTokをはじめて身の回りの環境もガラッと変わったし、そこからコラボも増えて、知らなかった人たちに「Myra」が出会わせてくれたので、僕自身の世界がすごく変わりました」

自身が語る、次世代シンガーの可能性

サブスクチャート上位に急浮上するまでには、確実にネットでのひとつのムーブメントがあったという。

ネットが無かったらオーディションを受け続けていただろうと話す彼は、どのようにしてネットの世界へと飛び込んだのだろうか。

「WHITEBOXのメンバーがどんどん再生回数を伸ばしていて、可能性を感じたのが投稿をはじめた理由です。

TikTokに投稿されているマッシュアップ動画(=複数の楽曲を編集して1つの曲にする音楽手法)をよく見ていたんですけど、楽器を弾かずにリズムだけで投稿しているので、“コード進行関係なく歌えるな”とか刺激にもなりました。

TikTokは音楽に限らず可能性があると思っていて、バズらなくてもそこから手を伸ばしてくれる人もいるので他に繋がれば、それだけで道が開けることもある。

僕の場合はカメラ直取りじゃなくて音を先に撮って動画を作品として投稿しようって意識はありましたけど、カバーだけで投稿して人気が出る人もいるし、そこは自由なのかなって。やりたいことがあるなら投稿してみたら良いと思います」

Tani Yuuki 撮影:石丸敦章

音楽との出会い

高校を卒業し、音楽の専門学校に進学。当時の話を聞くと、内申点が足りず「自分に残されたものが音楽だった」という意外な答えが返ってきた。しかし、ギターを手にしたきっかけといい、偶然が重なりながらも音楽が彼を呼んでいたようにも感じられた。

「親が音楽が好きでクイーンやエアロスミスが車ではよく流れていましたね。母はピアノ、父はバンドが好きでエレキギターを弾いてました。

中学2年生の頃に、怪我をしたタイミングでおじいちゃんから貰ったアコースティックギターをストレス発散にはじめたのが音楽との出会いでしたね。

体調が悪くて荒んだりするじゃないですか。その時におじいちゃんが声をかけてくれたんです。ギターとドラムが家にあって、“どっちやる?”って。

3年生になって少し体調が良くなって、ゆずさんとかアコースティック系の方が好きだったのでアコースティックギターを選んで、スピッツの曲を練習しながら“コードが押えられない”とか言いながら弾き語りをはじめて、こんなに面白いんだって熱中しました」

自分と同じ状況の人たちを励ましたい

可能性を求めて、進んだ先で訪れた変化。彼の音楽に対する思いが、彼自身を成長へと導いたようだった。

「実は中学に通えない時期があって、内申点が足りなくて。自分に残ってたのは音楽だけだなって思ったんです。

中学の時に体調を崩して、“同じ状況の人たちに元気になってもらえるような歌を届けたい”っていうのは僕の根本に凄くありました。なので、これしかないと思った。

当時はピアノも教わったことがなく独学で、オリジナルを作り出したのも専門に進んでから。音楽をはじめて人前に立つようになって、それまでは結構引っ込み思案だったけど、少しずつ自分の主張をするように変わりました」