面白い台詞とそのやり取りを存分に笑って楽しんでもらいたい
——中心人物であるコメディアン、マックス・プリンスを演じる小手伸也さんは『子供の事情』(2017年)に続いての三谷作品への登場ですね。
マックス・プリンスという人を誰にやってもらうかで、このお芝居は決まってくるわけです。
小手さんはご自分でもホンを書かれたり、演出もされる方で、僕が思っていた以上に知的な人でした。あの体型なので、もっとノホホンとしたのんきな人なのかな? とイメージしていたんですが、ご本人は全然そうじゃない真逆のタイプでした。劇団をやっているだけあってリーダーシップもあって、皆の上に立つカリスマ性を持っている感じもある。
それで今回マックスを誰にするかという時に、思い切って「小手さんは?」と提案しました。ご本人はビックリしていると思いますよ。
このマックス・プリンスのモデルになっているのはシド・シーザーというコメディアンです。
お笑いの人って、人前で演じている時と普段がまったく違って、オンオフの切り替えがものすごくはっきりしている人が多いんだけど、この物語はマックスのオフィスで展開するので、彼が表に立っているところは観客にはいっさいわからないんです。
だから、「テレビに出ている時の感じをそのまま引きずっているマックスにしよう」と小手さんと話しました。「いるだけで面白い。一挙手一投足がコメディアンのそれになっているふうに作りたい」とお願いしたら、小手さん、頑張ってくれてます。彼は体の動きがすばらしい。足をぶつけて痛がっている様子とか、それだけでチャーミング。僕のマックス・プリンスがここにいる、という感じです。
——いろいろ想像するだけで笑いが込み上げてきます。本番が楽しみです。
『23階の笑い』はポピュラーではありませんが、ニール・サイモンの代表作に匹敵するくらい面白いものだと、皆さんに再認識していただけたら嬉しいです。
とにかく皆おしゃべりで洒落ていて、ある種のファンタジーとして観ていただけるのではないかと思います。
不思議な登場人物たちのやりとりを十分に味わえるよう僕なりに工夫しましたので、たくさん笑って、楽しんでいただけたらと思います。
公演情報
作:ニール・サイモン
翻訳:徐賀世子
演出:三谷幸喜
出演:瀬戸康史 / 松岡茉優 / 吉原光夫 / 小手伸也 / 鈴木浩介 / 梶原善 / 青木さやか /
山崎一 / 浅野和之
2020年12月5日(土)~2020年12月27日(日)
会場:世田谷パブリックシアター(東京)
チケットは11月22日(日)よりチケットぴあにて一般発売開始!