舞台は、色々な人がありのままの姿で受け入れられている世界

劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal《後編》2月11日公開 ©武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」製作委員会

――「美少女セーラームーン」は昔からジェンダーギャップについて意識されている作品。

1992年の時点でアニメではレイちゃんが「今時女よりも男の方が偉いなんて言ってるのはおじさんだけだわ!」と言っていたりします。

それが2021年になって、男性もヒロインでいていいと全肯定してくれてますよね。

セーラーマカロン:確かに「セーラームーン」においてはタキ様(タキシード仮面/地場衛)がヒロインですもんね。

セーラーゴマちゃん:「俺はセーラームーンを助けてあげられないけど」とか言ってたもんね(笑)。

セーラーマカロン:セーラームーンから「ウラヌス(セーラーウラヌス/天王はるか)って男なの?女なの?」と聞かれたときに、ウラヌスは「男とか女とかそんなに大切なこと?」と言っています。

当時小学生だった自分には衝撃的でした。

幼少期、男の子は親から、「男の子はこういうものを観るんだよ」という導きがあるんですけど(笑)。

僕はセーラームーンが好き、ピンクが好き、カバンもピンクがいいと主張していました。

ウラヌスが性別は関係ないと言ってくれているから間違いないと思っていました。

カンディミオン:それを90年代から描いていたのがすごいですよね。

ウラネプ(セーラーウラヌス&セーラーネプチューン)の関係性だったり。スターライツ(原作第5期)の描き方とかって、今でこそジェンダー論が一般的になってきたけど、あの当時にはまだまだでしたから。

今改めて感じる「美少女戦士セーラームーン」の凄さのひとつですよね。

セーラーマカロン:後編の最初のシーンで、外部太陽系戦士が一緒に暮らしていて、サターン(スーパーセーラーサターン/土萠ほたる)を育てているのも 、斬新ですよね。

セーラーゴマちゃん:当時は普通に観ていたけど今考えるとすごいよね。

同性同士で子供を育てる家庭は実際にあるだろうし。

花妖魔オチニアン

花妖魔オチニアン:漫画界でも女の子が最前線で戦うのは革命的だったからね。

セーラーマカロン:前編に登場したアマゾン・トリオもおネエ言葉なんだけど、みんなそこはスルーするんですよね(笑)。何か突っ込みが入ったりしない。

90年代アニメはもっと複雑で、おネエ言葉を喋るけど女性が好きとか。みんなそこら辺をスルーして生活している。

色んな人がありのままの姿を受け入れられている世界ですよね。子供だからこそスッと受け入れられたのかなと思います。

セーラーおえかき

セーラーおえかき:自然に描かれているのもあって、観ている方も自然に受け入れられるよね。

負けそうになっている人ほど観てほしい! 「美少女戦士セーラームーン」に込められた強いメッセージ

劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal《後編》2月11日公開 ©武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」製作委員会

――今回の劇場版は現実世界にもかなり通ずるものがあるのかなと思います。

セーラーおえかき:<デッド・ムーン>編ってみんなが自分の感情を出すから、それがすごく共感できるよね。

みんなが「私はこの子に共感する」って思える作品。

敵のネヘレニアですらきちんと思考があって、彼女なりの行動がある。とにかく心情を丁寧に描いていて、人間ドラマに近い感じですよね。

セーラーマカロン:「Eternal」は夢がテーマになっているから、なりたいものとかに一生懸命立ち向かっている人に観てほしい。

本作品で、「光があるところには闇が必ずある」というようなセリフがあるように、夢が大きければ苦しみや挫折も大きくなると思う。

その中で、闇に飲み込まれそうになるけど、「いつだって自分の中に持っている星を輝かせて」というメッセージが、社会に出て戦っている人の胸に響くと思う。

男女問わず、負けそうになっている人にこそ観てほしい。

今ここで闇に飲み込まれてはいけないって強く思えるだろうから。

花妖魔オチニアン:すごいいい話(笑)。

やっぱり外せない!「推しセーラー戦士」談義

――推しキャラのいいところは?

セーラーおえかき:セーラーヴィーナス(愛野美奈子)は一番人間臭いんですよね。

セーラー戦士のリーダーで、「しっかりしなくちゃ!」という思いがあるけど、うまくやれなかったり。

前編でも外部太陽系戦士と比べて「自分はちゃんとできてない」と思っちゃったり。

とにかく人間味がある。一番共感しやすいキャラですね。あとビジュアルが素直に可愛い(笑)。

カンディミオン:セーラーマーズはとにかく圧倒的に見た目が好きです。だから今日も赤い服を着ています(笑)。

セーラー服で戦うってこと自体斬新なのに、プラス素足にピンヒールっていうのがすごく響きました。

黒髪ロングヘアーで勝気。さらに巫女さん。設定盛り盛りな感じが本当に大好きですね。

セーラーマカロン:僕は箱推し(みんなが好き)です。

「美少女戦士セーラームーン」が好きって言うと必ず「誰が一番好きか?」という話になるんですけど、自分にとって「美少女戦士セーラームーン」は聖書のようなものなので、聖書の登場人物に推しをつけるのは自分の中ではおこがましい(笑)。

その日の気分とか自分の悩みとかで推しは変わっていきます。全員愛おしい。

セーラーおえかき:しょこたん(中川翔子さん)も同じようなこと言ってたね。

花妖魔オチニアン:僕はセーラーサターンを推しているんですが、この子だけ存在理由がめっちゃ具体的なんですよ。だけどあまりいい理由じゃなくて。

「いつでも終焉と共に希望と再生があるのです」という台詞を何度も思い出しますね。自分が、色んな終焉を迎える度に(笑)。

セーラーゴマちゃん:子供の時はセーラーヴィーナスが一番好きだったんです。

大きなリボンがついていて、必殺技もきれいだし、キラキラしていますよね。一番女の子っぽいなと感じていました。

でも、年齢を重ねていくとまこちゃん(セーラージュピター/木野まこと)を一番奥さんにしたい(笑)。一番家庭的だし、優しいし、惚れっぽいところもまたいい。

まこちゃんは、悩みも一番女の子らしいんですよ。よく見ると靴も編み上げブーツで可愛い。大人になってからは、ジュピターを推しています。

亜美ちゃんとか、人気ありそうなところに行きそうだったこともあるんですけど(笑)。