観れば観るほど、気づくこともあったりすると思うんです。リピートして観に来てくださった方も多かったです。

どういうふうに観えていたのか、自分も客観的に作品を観たかったなぁ。

毎公演後に、自分たちで公演を録音したものは聞いていたんですが、いろんなことに気付きました。例えば、

「この台詞の間(ま)は、もう少し詰めよう」「この間だと、笑いが取れないんだろうな」
とか。

笑いを取りたいわけではないんです。でも、台詞の間をもっと詰めたり、逆に空けたりすることで、台詞のよさがもっと出るのかな、と考えたりしました。

今回は台詞も多かったですし、役柄の雰囲気もこれまでとは違っていたので、「テンポ」をすごく大切にしていたんです。だから、毎公演後に録音を聴いてチェックしていました。

歌も、今までだと、「うまく歌えているか」という聴き方をしていたんですが、今回は「この部分を際立てた方が、もっと聴きやすくなるのかな」とか、録音の聴き方も変わりました。

--テンポや声の高さ、大きさが違うだけで、お客さんから返ってくる「反応」も違ってくるのでしょうね。「ここはそんなに笑うところじゃない」というところで、笑いがきたり。

そうなんです。日によってお客さんの反応が違うんです。

「あ…、ここで笑う?!」みたいな日もあれば、「あ…、今日はここで笑わないんだ」っていう日もあって。

そういう時は、舞台袖にはけるたびに、共演者さんたちと「アレレ…??」って、目を合わせながら演じてました(笑)

でも、今の時期は、劇場で声を出して笑えない状況でもありますよね。

マスクがなければ、お客さまの表情や感情が、演者にも伝わってきて、それによってお互いが思いを共有しあったりできたんだろうなと思いますが、今はそれが難しいですね…。

--お客さん全員がマスクをしている状況での公演は、佐江ちゃんにとって初めてですよね。

バックナンバー