お客さまが観ている空間でのお芝居は、ゲネプロともやっぱり、全く違うということを、今回は痛いほど感じました。

エンタテインメントって、演者側がどれだけ時間をかけて作っていても未完成で、お客さまがいて、その反応があって、初めて完成されていくんだなって、本当に思いました。

お客さまがいるだけで、演者側の出せるパワーも違うし、お客さまの反応があればあるほど、相乗効果で演者もいい波に乗れるというか。

だからこそ、無観客公演ほど厳しいものはないなって。

お客さまがいて初めて成り立つ、舞台やミュージカルに立ち続けている人にとっては、無観客は、本当に厳しいものだと改めて気付かされました。

--お客さんにとしても、生の舞台のあの「空気感」を味わいに行くところが大きいと思います。

ね…、そうなんだよなぁ…。

--前回の取材は、ちょうど劇場入り直前でしたよね。不安な気持ちも話していた佐江ちゃんでしたが、本番をどう迎えていったのか聞かせてもらえますか?

稽古場での通し稽古の後は、不安というか、このままでいいのかなという状態でした。

なんかね…、久しぶりに声を張る役だったので、声帯をおかしくしてしまって、声がどんどん出なくなってしまったんです。

台詞も多くて、叫ぶことが多かったり、歌も高いキーで歌ったりすることが多かったので、声帯がおかしくなって、声が出なくなってしまって。

自分は舞台の上では、「100」か「ゼロ」の人間で、初日はガンガンに声を出してしまったので、そうしたら、案の定…。

--声が出なくなってしまったところを、どう乗り切っていったのですか…?

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