――“人の手”を借りて「一時保育」に預けることで、ママがリフレッシュできるというのは理解できなくはないのですが、でも赤ちゃんは、泣きませんか。
竹中:そりゃあ赤ちゃんも「ママじゃない奴!」「おっぱいの匂いがしない!」「いつもと違う場所だ!」等々イロイロ分かりますから、大泣きするかもしれません。
いや、たぶん大泣きすると思う(笑)
でも、そこで心折れないでほしい。
保育士は「ごまかし」のプロ!? ほ乳瓶を使わない授乳法なら乳頭混乱も回避できる
竹中:ママには、
「一時保育なんだから泣かれて当たり前」
「いつもと違うだろうけど、まぁちょっとくらい、いいじゃないの」
と、自分を“長持ち”させるためにも、少し気楽なくらいに考えてほしい。
赤ちゃんの側から見た「託児」というのは、ママに抱っこされておっぱいを飲むのが普通の状態であるところを「ごまかして」、ママと再会するまで気を紛らわせて「もたせる」時間です。
もともと関心をよそに向けて「ごまかしている」時間なのですから「冷凍母乳を用意してもいいけれど、そんな時くらいミルクにしたっていいや」と、そんな感じで考えてみてほしい、と私は考えています。
しかも保育士さんというのは「ごまかす」ための技に長けている職業の人たちなのです。
そのように捉えると「一時保育」に対する考え方が変わりませんか。
ほかに「カップ授乳」や「スプーン授乳」も同じです。いつも柔らかくていい匂いのするママのおっぱいを飲んでいる赤ちゃんにとっては、固い舌ざわりのコップやスプーンなんて本当はイヤですよね。でも、お腹が空いてどうしようもなければ「ごまかされて」ちゃんと飲むんですよ。
――待ってください!赤ちゃんって、コップや、スプーンからでも飲んだりできるものなんですか?
竹中:ほ乳瓶がない時代の、おっぱい以外からの授乳は普通に「スプーン授乳」だったそうですよ、だから大丈夫!
「カップ授乳」や「スプーン授乳」のやり方を親子で覚えておけば、母乳の赤ちゃんが乳頭混乱を起こしてしまう、つまりほ乳瓶の飲みやすさに慣れてママのおっぱいを嫌がるようになってしまう心配もありませんし、災害などのいざという時、ほ乳瓶の消毒ができない中で水分を与えるような場合にも役立ちます。
せっかくですから、具体的なやり方もお教えしましょうか。
「スプーン授乳」&「カップ授乳」のやり方
- 赤ちゃんの顎の下にガーゼやタオルなどを置いて、多少こぼれても衣類が濡れないようにします。(少しはこぼれます)
- 縦抱きにして、頭の後ろをしっかり支えます。
- 下唇にほんの少し乳汁を垂らします。
- 乳汁が入ったスプーンを下唇にくっつけ、ちょっとだけそのスプーンやカップを傾けます。
- 下唇に垂らした乳汁の匂いと味を感じた赤ちゃんはその続きで、傾けたスプーンやカップに入っている乳汁をすすり込みます。
結構大きい音をたててすすり込むのでビックリするかもしれませんが、コツはゆっくり時間をかけること。身体の軸と頭の角度を変えないこと。
注意しなくてはならないのは、赤ちゃんの口に流し込むというよりも、赤ちゃんが自分ですすり込むのを待つ感じ、ということです。それを誘うために最初、下唇にほんの少し乳汁を垂らすわけです。