「宇宙環境」から得られる「密室育児」ストレス回避のヒント
今一生さん(以下、今):ではまず「密室育児」実体験者の、樋口さんからどうぞ!
樋口毅宏さん(以下、樋口):「宇宙環境」と「密室育児」が、ほぼ同じ感じという話にはビックリしました。
林公代さん(以下、林):似ているところがある、と思います。
樋口さんもおっしゃっていましたが、ネットでつながるってすごく大事ですよね。
アンケート結果でも「外に出られないけど、自分は在宅だけどネットでつながれる」というのがありましたが、ネットでも「誰かとつながっている」とか「情報をもらう」とか。
宇宙飛行士も同じで「ネットで社会とつながっていられる」っていうのがあります。
今:あと「弱みを見せられない」とか「弱さを言わない」っていうのは、どっちかっていうと“男ジェンダー”的な感じがするんですけど、やっぱり女性も宇宙飛行士になると宇宙船の中では、弱音が吐きにくくなっちゃうんでしょうか。
林:宇宙飛行士に選ばれるって“スーパーエリート”なので「自分はこれができます!できます!」のアピール合戦になっちゃうわけです。
でも宇宙でそんなことやっていたら「お前できるって言ってただろ」って言っている間に火災が広がっちゃったら死んじゃうわけですよ。そこは「得意な人が得意なことをやる」っていうのがすごく大事です。
あと宇宙飛行士というのは割合的には男性の方が多いんですけど「女性の方が宇宙飛行士に向いている」とも言われています。
それは“マルチタスク”、女性っていっぺんに同時並行できますよね。赤ちゃんのおむつ替えながら次の段取りを考えている、ごはんの段取り考えたり、あとご近所の誰々さんのところに回覧板回さなきゃとか。
そういうことをできるのって実は女性の方が長けているので。
だからそういう意味でも、ママさんて何でもできちゃうし、段取りできちゃうし。パパさんに任せるより「自分の方が早いわ」って、やっちゃうところがあるんじゃないでしょうか。
今:たぶん、個体差があるんですよね。“スーパーエリート”は“マルチタスク”ができるかもしれないけど、例えば樋口さんの『おっぱいがほしい!』を読んだら、どう考えてもママの方が、いろいろ苦手なんだろうなと。
努力はされているんだとは思うんだけど、樋口さんの経験値の方が上がり過ぎちゃって、あとでそれに追いつかなきゃいけないみたいな感じがありますよね。
樋口:男の育児日記『おっぱいがほしい!』は、いまもネットのcakesというところでずっと続けていますけれども、何せ妻が本当にいそがしい人ですから。
イクメンは増えたけれど?がっつり育児パパはまだまだ超少数派
樋口:当時、ずっと大変だった頃は先輩ママや先輩パパに「どのぐらいになったら育児、楽になりますか?」みたいなことを聞いて回っていたんですけど、皆さん「いや、あっという間だよ」っておっしゃるんです。
「その、あっという間っていつだよ?」って、もうこっちは食い込み気味に、前のめりで聞いてたんですけど。
今:これも苦労が分かり合えるパパ友がいるとやっぱり、全然違うものなんですか。
樋口:ああ、でも“手伝い”程度じゃなく、僕ぐらい“がっつり育児”の人にはいまだにお会いしてないです。京都にいた時も、東京に戻ってからも。だからいま「ママさん会」みたいなのに参加していますけど、男は僕ひとりです。
今:そこはもっともっと、増えてきたらいいですよね。
日本のママは「母親はこうあるべき」という“呪い”にとらわれている
村上麻里先生(以下、村上):宇宙飛行士の話で「弱音が吐けない」ってありましたけれども、特に日本のママは「お母さんはこうあるべき」みたいな、その枠に結構とらわれているというか。“呪い”と言ってもいいと思うんですけど。
樋口:間違った“母性信仰”ですよね。
「完璧であらなきゃいけない」っていう気持ち、僕もありましたけど。でも周りが「男だからね、女じゃないからね」と、パパだから大目に見てくれるところはあったと思う。
村上:「コレができないとダメ!アレもできないとダメ!」って、自分を責めちゃう人も多いような気がするんですね。だからちょっとでも、芸能人の方とかが「赤ちゃん連れてどこどこ行きました」なんて言うと!
今:炎上しちゃうワケね。
村上:「お母さんなのに!」という、あの縛りは一体なんだろうなって。
樋口:ほんとに“クソマザコン野郎ども”ですよね?
(会場爆笑)