いまこそアピールしたい「赤ちゃんとの旅」“おっぱい”を便利に使いこなして!
――テレビドラマ『コウノドリ』の脚本監修等も手掛けられ、累計80万部突破の大ベストセラー『女医が教える 本当に気持ちのいいセックス』著者としても知られる産婦人科医・宋美玄(ソンミヒョン)先生と、授乳服ブランド「モーハウス」創業者でNPO法人「子連れスタイル推進協会」代表でもある光畑由佳さん。ともに大の旅好きで、プライベートでも交流があるのだとか。
お子さんが小さな頃から親子で国内外を飛び回っていらっしゃるお二人ですが、今日は「子連れ旅」、とりわけ「赤ちゃんとの旅」について教えてください!
光畑由佳さん(以下、光畑):ミヒョンさん、夏休みにもお子さんと旅をされていましたよね?
宋美玄先生(以下、宋):我が家はいま、上の子が小学1年生で、下が2歳になったところなんですけど、この夏は奈良へ行ってきました~♪
光畑:いまはやりの「旅育」?でも一般的に「旅育」っていうと、3歳以降って言われているんだよね。子連れ旅のガイドブックなんかも、対象年齢は3歳以上なことがほとんど。
宋:エーッ!でも実際には、3歳児を連れていくより乳児の方が楽じゃない?
――赤ちゃんの方が、ママは楽ってことですか?
宋:3歳からの旅が大変ということを強調するつもりはないけれども、0歳から、別に、アリだと思うよ。
うちの子どもたちについていえば、両方とも10カ月の時にヨーロッパへ連れていきましたし。
むしろ、おっぱいが出ていた頃の方が楽だったと思う(笑)
光畑:ミヒョンさん、たしか上のお子さんがまだ小さかった頃お会いした時に「来月ハワイに行く予定が入っているので、卒乳は旅行から帰ってくるまで伸ばそうかと思って」っておっしゃっていましたもんね(笑)
宋:そんなこともありましたね(笑)
もちろんママが1~2時間で胸が張ってきてとか、そういう時期はしんどいけど、ダラダラ授乳している時期って結構“武器”として使えるから。欲しがったらあげるし、あげないで済むならあげないし、みたいな頃が一番楽なんじゃないかなぁ。
光畑:泣くより前に、グズりそうになったらパクッ!で静かになりますからね(笑)
宋:飛行機の気圧の変化で、耳がツーンッとするのだって、おっぱいを吸わせときゃ大丈夫だし!
とはいっても休みの時期のハワイ便なんてね、うちの子が泣かなくても、よそのお子さんの泣き声で寝られないくらい、乳幼児連れがいーっぱい乗っているんですけどね(笑)
光畑:ミヒョンさんはいつも、自分はおっぱいに対して「母乳はすばらしい!何がなんでもおっぱい」という“おっぱい右翼”でもなければ、「初乳だけあげたら、あとは粉ミルクでも一緒!母乳にこだわることには意味がない」という“おっぱい左翼”でもない“中道”だとおっしゃっていますよね。
森戸やすみ先生(小児科医)との共著『産婦人科医ママと小児科医ママの らくちん授乳BOOK』も、そのスタンスで書かれていますし。
宋: 母乳育児と聞くと“おっぱい右翼”と“おっぱい左翼”が言い争って、ママにとっては要らんプレッシャーになりますけど、ネガティブなことばっかりじゃないよって。
母乳を「あげないといけない」とか「あげた方が偉い」とかじゃなくて「使い道もあるんじゃない?」って思いませんか。旅なんて、その最たるものだと思うなぁ。
光畑:合理的!
宋:ただ、おっぱいを吸いながら授乳ケープをね、めくろうとするから「それはマジやめて」みたいな(笑)
光畑:そういう時には、ぜひ授乳していても胸やお腹が露出しない授乳服をご活用ください(笑)
――ところで宋先生は、産後旅を薦めていらっしゃる一方で、妊娠期の「マタ旅」には警鐘を鳴らしていらっしゃいます。「マタ旅」と「産後旅」、その違いは何でしょうか。
「マタ旅」賛成派の産科医なんていない?旅は産後でも楽しめるからあせらないで!
宋:時々、患者さんからも「先生は『マタ旅』反対派って聞いたんですけど」って言われるんですけど・・・
私の知る限り「ソンミヒョンは『マタ旅』についていい顔していないけど、私はどんどん行ったらいいと思いますよ」なんていう産婦人科医って、いないんですよね。
「絶対やめてくれ」から「なるべくやめてほしい」という段階はあると思うんですけど、「マタ旅」をできれば控えてほしいというのは、私の好き嫌いの問題ではなく、産婦人科医の総意だと思うんです。
これは「妊娠したんだから!もうママになるんだから我慢しろ!」ということでは決してない。リスクがあるから分かってね、産んでからも行けるから、ということなんです。