光畑:もったいないですよね。自分が楽しくなることに罪悪感なんて持たず、自分が楽しむためだけに旅に出たりできれば、赤ちゃんだってかわいくなってみんなハッピーなのに。

宋:産婦人科医として申し上げれば、産後は女性ホルモンがガクッと減ってしまうので、思考がネガティブになりやすいんです。

さらに慣れないところにいっぱいタスクがあって、世の中の扱いとしても「産後だからママはゆっくりして」とか、残念ながらそういう環境はまだまだ整えられていない。妊婦の間は優しくされていたけれど、産んだら退院してあとは頑張って!みたいな感じというか。

光畑:みんな赤ちゃんのことは構ってくれるけど、ママのことは構ってくれませんしね。

宋:「産後1週間で家に戻ったら、実家・義実家からいっぱい人が訪ねてきて、もてなしをさせられた」なんて話もよく聞きます。そういう人たちに「産後のママは休んでいないといけない身体だから」というような認識は、残念ながら全然ないんですよ。

例えば英国のキャサリン妃だって、産んですぐにニコニコ立って挨拶しないといけないでしょ?

光畑:お立場がお立場とはいえ、大変ですよね。

宋:世間から見える部分のキャサリン妃は、パリッとしているじゃないですか。いくらあとで寝っ転がって休んでいるにしても、あの一瞬は、出産直後なのにあのカッコでヒール履いて出なきゃならない。

そして「キャサリン妃だってあんだけ動いているんだから、お前も頑張れ!」みたいに言われる日本人が続出しているワケですよ・・・

光畑:恐ろしい!

宋:でもね、そんな「母たるもの産後すぐだって家事をこなすべき」とか「母たるもの育児におのれを犠牲にすべき」みたいな「べき論」を信じ込んじゃっている人を改革するっていうのは、なかなか難しいから。

光畑:どうしたらいいんですかね?

宋:「それは“呪い”だよ!」ってことを、私たちがバンバン発信したらいいんじゃない?(笑)

光畑:ママになったからって、子どもの犠牲になることはない!旅だって赤ちゃん連れていけばいいんだよ、楽しいよって、どんどん発信しましょう!(笑)

――とはいっても「赤ちゃん連れ旅」ならではの、気を付ける点もあるかと思います。お医者様として、また先輩ママとして、アドバイスをいただけますか。

乳幼児「旅育」出発前の注意点!そして気になるママ&赤ちゃんのメリットとは?

宋:産婦人科医としては日本で任意接種と定期接種、ワクチンを一通り打ち終わる生後半年くらいまでは、国内から出ることを積極的にオススメはしません。

海外へ行くのであれば、感染症の流行している地域には行かない。現地の安全情報は事前に調べておく。

そして何かあった時に受診できるところは探しておく。もちろん保険にも必ず入る。

あとは、持ち物ですよね! 見知らぬ土地に行って「アレがなーい」っていうのも困りますから。オムツとか、服装とか、衛生用品とか。

光畑:そういうのは持ってもいきますけど、いざとなったら手に入るところに行った方が安心ではありますよね。

――そうすると荷物が、どうしても多くなりませんか?

宋:私もいーっつも、オムツは余るくらい持っていっちゃうんですよね。でもそれで、いいんちゃう?(笑)

光畑:子どもの荷物って現地で減っていくものも多いし、旅先であげられることもあるし。それで帰りにそのスペースに、お土産を詰めてきたらいいんですよ(笑)

――普段出かける時から、マザーズパックがパンパン!のママもいますが。

宋:光畑さんと私、ふたりとも普段の荷物はちっちゃいんですよ。

光畑:それも、私たちの共通点なんだよね。

宋:例えばですよ、子ども用の、おかきを入れるためのケースとかあります。

光畑:エエーッ!

宋:おかきくらい普通に入れたらええやん、と思うんですけど(笑)

世の中いろんな商売があって、いろんなグッズとか売っているんだけど、別に使わないといけないってことはありません。

マザーズバックにしても、旅の荷物にしても、逆に「要らないモノは排除!」です。置いていけるものは置いていったらいいんです。

――「要らないモノは排除」というのは、子連れのフットワークに欠かせないポイントかもしれません。

光畑:身軽な子連れ旅、ということでいえば、いわゆる「旅育」のために3歳から連れて出かけたかったら、小さいうちから旅慣れておいた方が楽、というのもありますよ。

実際に0歳から旅をしている赤ちゃんって、社会性が身についているというか、どう振る舞ったら自分の居心地がいいのかが分かっているので「ニコニコしといた方がいいぞ」というのが板についてる(笑)

だから3歳でいきなりデビューさせるより、赤ちゃんのうちから慣らしておいた方が、親も後々楽できるんですよ。

宋:それは、たしかにいえてるかも。

ママも慣れてきますしね。親がアワアワしていると、子どもにもそれが伝わって緊張しちゃうけど、ママが慣れていて、平然としているっていう態度が子どもの安心を産みますから。

――0歳からの旅育には、そんなメリットもあるんですね!

宋:ママも出発前は不安でいっぱいだと思いますが、行ってみたら想像以上に楽しめるんじゃないかな。いままでフリーで行っていた旅とは視点が変わって「こんな子ども用グッズが売ってた!」とか「こんなものを喜んだ」とか、また違った醍醐味が味わえるというか。

光畑:コミュニケーションも楽ですしね。赤ちゃんを連れていると勝手に話しかけてもらえるし、優しくしてもらえる。

飛行機も、国際線なら2歳未満、国内線なら3歳未満まで格安ですし、優先搭乗もありますから(笑)

宋:「旅育」という観点に話を戻すと、例えば“非認知能力”を育てるなら何歳のどのタイミングで行くかにもよりますけど、いろんな体験をさせるのって絶対にプラスだと思います。3カ月の子どもにとってどんな影響があるのかは分からないけど、1歳や2歳になったら、旅の経験は宝になるんじゃないかな。

何よりママが楽しんで、笑顔になることが子どもにとっても幸せだし、ママが落ち着いてポジティブでいれば、赤ちゃんにもそれが伝わりますから。

「マタ旅」より「子連れ旅」!海外でも、もちろん国内だっていいと思います。赤ちゃんを連れてバンバン、旅しましょうよ!

光畑:どんどん、発信しましょう!

宋:最後に私事になっちゃいますけど、我が家も、今度は国際線乗り継ぎの旅にチャレンジするんですよ~。いままで直行便しか使ったことがなかったんだけど、ミュンヘン経由でスペインに行ってきます!

光畑:スペイン!

宋:夫がどうしても「サンセバスチャンに行きたいねん」って。

2歳児にとってサンセバスチャンとか楽しいの?って思いますけどね。ビルバオというところにビスカヤ橋という橋があって、世界遺産なんです。だから子どもには、せっかくだから世界遺産を見せてこようかと(笑)

光畑:子どもも、親の趣味に付き合わされたらいいんですよ!なんでも自分本位にしてもらえると思ったら大間違い(笑)

宋:ママが子どものために我慢しなきゃ、とか“呪い”ですから!

ママが自分の好きなことを楽しそうにやっている、その笑顔を見て子どもは育ちます。

赤ちゃんを産んでからでも、旅には出られます。子どものため、誰よりもママ自身のために、どんどん旅を楽しんでくださいね!

――産婦人科医・宋美玄先生と、子連れライフスタイルの達人・光畑由佳さんの語る「赤ちゃん連れ旅」、いかがでしたか。

産後も旅に出られる!むしろ“おっぱい”が旅を楽にしてくれる!ママが笑顔で楽しむ姿を見て子どもは育つ!etc…「旅育」始めてみようかな、赤ちゃんを連れて旅行してみようかな、なんてソワソワしてきたママもいらっしゃるのではないでしょうか。

【取材協力】
宋 美玄(ソン ミヒョン)先生
丸の内の森レディースクリニック院長として診療やカウンセリングを行う一方、女性の身体や性生活、妊娠・出産等についての啓蒙活動にも取り組む“カリスマ産婦人科女医”。公式サイト オフィシャルブログ ツイッター インスタグラム

光畑 由佳(みつはた ゆか)氏
子連れの多様な生き方や育て方、働き方を提案するNPO法人「子連れスタイル推進協会」&授乳服ブランド「モーハウス」代表。内閣府「女性のチャレンジ賞」など受賞歴多数。

現在「ハピママ*」では「0歳児からの旅育」に関するアンケートを実施しています。

アンケートの集計結果は、今秋10月27日(土)東京ウィメンズプラザ大ホール(表参道)で開催される「全日本おっぱいサミット 2018 TOKYO ―旅する"おっぱい"―」で発表し、“旅育”の専門家や“おっぱいスペシャリスト”の方々と昨年同様、時に鋭く?時に楽しく!語り合う予定です。

自由記載欄もございますので、皆様の率直なご意見・ご見解をお聞かせください。お待ちしています!

15の春から中国とのお付き合いが始まり、四半世紀を経た不惑+。かの国について文章を書いたり絵を描いたり、翻訳をしたり。ウレぴあ総研では宮澤佐江ちゃんの連載「ミラチャイ」開始時に取材構成を担当。産育休の後、インバウンド、とりわけメディカルツーリズムに携わる一方で育児ネタも発信。小学生+双子(保育園児)の母。

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