堤真一「僕は涙が止まらないです」

『ウェンディ&ピーターパン』ゲネプロより、フック:堤真一 撮影:細野晋司

全体の流れは同じでも、劇場を出た後に心に残ることは、本作ならではのものになるのではないかと思う。演劇ならではの鮮やかな展開や、魔法のような夢のある演出は美しく、それを、中島、黒木をはじめ、キャスト全員の力で丁寧につくりあげていることがとても鮮やかに感じられる舞台だ。

『ウェンディ&ピーターパン』ゲネプロより、左から フック:堤真一 ピーターパン:中島裕翔 撮影:細野晋司

開幕に際しての会見で、堤真一がこう話していた。

「僕は、21歳で『天守物語』という坂東玉三郎さんの舞台で黒子をやった時、初めて『舞台に関わろう』と思いました。なぜかというと、その空間の美しさと、自由度と、こんなにぶっとんだ世界ができるんだってことを知って。今回はその時を思い出すくらいすごくいい空間です。

自由で、なんでもできちゃう。もうね、見るだけで涙が出るんです。照明からなにからすべて。彼女(黒木)が立っている姿も。だから本当に観てほしい。『ピーターパン』というと子供の作品だという印象がありますが、内容には“女性の自立”ということも関わっているし、そこも含め本当に大人の人にも観ていただきたいです。僕は涙が止まらないです」

『ウェンディ&ピーターパン』ゲネプロより、左から ウェンディ:黒木華 フック:堤真一 撮影:細野晋司

子供であること、大人であること、男性であること、女性であること、そして自分であること。さまざまなことに思いを巡らす舞台で、思いっきり心を動かしてほしい。