【TOPIC7】史上初、89件の国宝を大公開! めでたいトーハク150周年

狩野永徳筆 国宝《檜図屛風》東京国立博物館蔵 安土桃山時代・天正18年(1590)

東京・上野にある東京国立博物館、通称トーハク。7万件以上の所蔵品を持つ、日本最大の博物館は2022年に創立150年を迎える。これを記念して東京国立博物館150周年記念『国宝 東京国立博物館のすべて』(10/18~12/11、会期中、一部作品に展示替えあり)が開催される。

国宝 《太刀 銘 三条(名物 三日月宗近)》 東京国立博物館蔵 渡邊誠一郎氏寄贈 平安時代・10~12世紀

展覧会は2部構成。第1部「東京国立博物館の国宝」では、日本の国宝の約1割となる国宝89件を展示替えを含めつつ全点公開する。狩野永徳の障壁画《檜図屛風》や渡辺崋山《鷹見泉石像》をはじめ、教科書にも登場する有名作品や名作を一挙に堪能することができる。

そして、第2部の「東京国立博物館の150年」ではトーハクの150年の歴史をたどる。1872年に開催され、トーハクの源流となった「湯島聖堂博覧会」を描いた錦絵、一曜斎国輝《古今珎物集覧》をはじめ、トーハクにまつわる資料や作品、映像で、その長い歩みをたどっていく。

日本の美術館・博物館の礎ともいえるトーハクの歴史と作品を知ることで、日本美術の歴史もたどることができる、豪華絢爛な展覧会だ。

【TOPIC8】日本美術ももちろんアツい!

『大英博物館 北斎―国内の肉筆画の名品とともに―』葛飾北斎《流水に鴨図》一幅 江戸時代 弘化4年(1847) 大英博物館 1913,0501,0.320 ©Trustees of the British Museum

近年盛り上がりを見せる日本画の展覧会も目白押しだ。

『大英博物館 北斎―国内の肉筆画の名品とともに―』(サントリー美術館:4/16〜6/12、会期中展示替えあり)は、世界中に熱狂的なファンをもつ浮世絵師・葛飾北斎の展覧会。イギリス・大英博物館の所蔵する北斎作品を中心に、国内の肉筆画の名品も交えて、北斎の画業の変遷をたどっていく。

また、なぜ大英博物館に北斎作品が集まったのか、その理由をコレクターに着目して浮き彫りにし、海外における日本美術の受容についても考えていくという興味深い内容だ。

「ボストン美術館所蔵 『THE HEROES 刀剣×浮世絵―武者たちの物語』」 歌川国芳《小子部栖軽豊浦里捕雷》 天保5-6年(1834-35)頃 Bequest of Maxim Karolik Photographs ©Museum of Fine Arts, Boston

森アーツセンターギャラリーで開催される「ボストン美術館所蔵『THE HEROES 刀剣×浮世絵―武者たちの物語』」(1/21〜3/25、新潟県立万代島美術館:4/23~6/19、静岡市美術館:7/2~8/28、兵庫県立美術館:9/10~11/20)は、ボストン美術館が所蔵する武者絵と刀剣に焦点を当てた展覧会。

武者絵とは武者たちの物語を描いた絵画のこと。「風景画」や「役者絵」「美人画」などとならび、庶民の人気が非常に高かった。

同展では、初期の浮世絵師・菱川師宣から明治期の月岡芳年まで、有名絵師が描いた武者絵を118点展示。すべての作品が日本初出展となる。

合わせて、ボストン美術館のコレクションより厳選した刀剣を20口、そして武者絵に関連する国内の刀剣も特別展示。平安時代から江戸末期までの日本刀の歴史を概観することができる。浮世絵と刀剣をあわせて鑑賞することで、力みなぎる武者の世界を堪能できるはずだ。

『没後50年 鏑木清方展』 鏑木清方《築地明石町》1927年 東京国立近代美術館 ©Nemoto Akiko

『没後50年 鏑木清方展』(東京国立近代美術館:3/18〜5/8、京都国立近代美術館:5/27〜7/10)は、美人画で名高い日本画家・鏑木清方の没後50年を記念した大規模回顧展。13歳で水野年方に入門した清方は、挿絵画家・日本画家としてとしてめきめきと頭角を現していった。

同展は、清方の代表作として知られていながら、1975年から2019年まで所在不明となっていた《築地明石町》をはじめ、すべて日本画のみで展示を構成していく。ときにはたおやかで、ときには艶やかな清方の女性像を心ゆくまで満喫できる貴重な機会だ。