鍋の火加減や鶏肉の切り分けは店の人におまかせ

店によっては漢方薬を混ぜたエサを食べて育った鶏を使っている。

その肉の風味が溶け出たスープは絶品で、「このスープでラーメンを作ったら行列店になる」というような言葉を、私が案内した日本の人から何度か聞いたことがある。

鶏肉を食べ終え、残った汁に麺を入れて食べるのも楽しみ

タッカンマリが日本の人にあまねく知られるようになって、そろそろ20年になるのではないだろうか。

コロナになる前は、「ソウルでかならず食べたいものは?」と聞くと、「タッカンマリ」と答える人がサムギョプサルなみに多かった。

15年ほど前、日本人グループを案内して釜山を歩いたとき困ったことがあった。

「チョンさん、タッカンマリの店に連れて行ってください」

タッカンマリは実はソウルの食べ物である。最近は釜山でも出す店ができたが、当時はなかったのだ。

しかたなく、サムゲタンの店で我慢してもらったが、高麗人参を入れ、おろしニンニクをたっぷり使い、腹にもち米を詰めたサムゲタンはやはり別の食べ物。

彼らにはすまないことをした。

現在、タッカンマリ横丁にある専門店は、コロナ以前と比べると6分の入りという印象だ。

外国人観光客への依存度が高い街が明洞だとしたら、食堂はタッカンマリの店だ。

それほど外国人、とくに日本人が多かった。

韓国旅行中の日本人をつかまえて該当インタビューする仕事のとき、この横丁は短時間で効率的に日本人をキャッチできる場所だった。

この一帯が日本の人たちの「美味しい!」と「乾杯!」の声で満ちる日が、早く来ますように。

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  • 若い女性にはクラシックな伝統衣裳より、現代風にアレンジされたものが人気

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鄭銀淑:ソウル在住の紀行作家&取材コーディネーター。味と情が両立している食堂や酒場を求め、韓国全土を歩いている。日本からの旅行者の飲み歩きに同行する「ソウル大衆酒場めぐり」を主宰。著書に『美味しい韓国 ほろ酔い紀行』『釜山の人情食堂』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』など。株式会社キーワード所属。