与田祐希 撮影:川野結李歌

多くの話題作を世に送り出してきたテレビ東京の深夜ドラマ。

現在放送中の『量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-』は、センスや価値観などが平均的なイベント会社勤務の女子・璃子が、ある日同僚から「お前は“量産型”の人間だ」と言われるところから物語が始まる。

モヤモヤした気分の璃子は、ふと町で見つけた模型店での出会いによりプラモデル作りの魅力にハマり、それをきっかけに自分自身をも見つめ直していくことに……。

『機動戦士ガンダム』の量産型ザク、日産GT-R、エヴァンゲリオン、宇宙戦艦ヤマトと、毎週プラモデルと向き合う璃子を演じているのは、乃木坂46の人気メンバーで本作が地上波連続ドラマ初主演となる与田祐希。

トップ女性アイドルグループで活躍する彼女と“量産型”な璃子とは対極な存在にも思えるが、与田自身は「あまりにも自分に当てはまっていてゾクっとした」という。

なぜ璃子役に与田だったのか? そんな疑問を、与田本人も立ち合いの下、企画・原案・脚本を手がけた畑中翔太、与田とは2度目のタッグとなる監督のアベラヒデノブ、本作のキーマンふたりにぶつけてみた。

フォトギャラリー【全12枚】自然体の魅力。与田祐希(乃木坂46)インタビュー写真【ドラマ『量産型リコ』】
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“温度の低さ”がキャスティングのポイント

9左からアベラヒデノブ(監督)、与田祐希(乃木坂46/リコ役)、畑中翔太(企画・原案・脚本) 撮影:川野結李歌

――ドラマ『量産型リコ』のキャスティングはどのように決まったのでしょうか。

畑中 ドラマの主人公の璃子ちゃんを作っていく中で、“興味がなかったプラモデルを作っていくうちに、だんだん温度が出てくる”という主人公像を考えていたんです。なので、いきなり元気でテンションが高い子ではないよなと思っていたんですよね。自然体で平熱の人というか。そこで与田さんの名前が挙がり、“すごく合うかもね”という話になったんです。

アベラ 僕は与田さんと一度だけ短編ドラマでご一緒したことがあったんですが、そこでなんとも言えない温度の低さを感じていたんですよ。

与田 あはは!

アベラ もちろん、それが与田さんの魅力のひとつだと思うんですよね。

畑中 脚本家チームとも、璃子は喜んでいても、嬉しいときも、悲しいときも、温度が一定のような子がいいよねって話していて。

与田 それはロボットじゃないですか!(笑)

アベラ 違う、違う(笑)、そこに“無理がない”感じがしていいなって思ったんですよ。

左からアベラヒデノブ(監督)、与田祐希(乃木坂46/リコ役)、畑中翔太(企画・原案・脚本) 撮影:川野結李歌

畑中 監督が一度一緒に仕事をしたことがあると聞いたので、まず「いい子ですか?」って聞いた記憶があります。これは完全に裏側の話ですけど(笑)。

与田 なんて答えたんですか?

アベラ 「島の子です」って答えたんですよ(笑)(※与田は福岡県志賀島出身)。芸能人感があまりなくて、すごく自然体だったんですよね。その無理のなさって画面にも表れるんです。自然に本人が持っているかわいさはにじみ出るものがあるし、かつ温度も低くて、“これは璃子だ”って思ったんです。

与田 温度の低さを褒められるのは不思議な気持ちですね(笑)。

与田祐希 撮影:川野結李歌

畑中 璃子ちゃんって、現代の鏡だと思うんです。脚本にもありますが“平熱でも勝てばいい”と、そのとおりなんですよ。なにか成し遂げてやろうというよりも、璃子ちゃんのように生きる方がすごく“今の普通”なんじゃないかなって思ったんです。そんな“今のど真ん中の人”を描くというのが今作のポイントだったんですよ。

アベラ もちろん、やる気がないとかそういう話ではないんです。このドラマを作るときに、キャラを作ってお芝居として演じると、全部が嘘になるし、押しつけがましいかもしれないと思ったときに、与田さんなら自然体のまま、それが出せる女優さんなんじゃないかなって思ったんです。