単にキスをするだけではなくて、いろんな動きや流れの中でキスをする

撮影/小嶋文子

――『夜景キス』では、酔っぱらう場面や入浴シーンがありましたね。

友達役の方と一緒に酔っぱらって家に帰って来るという場面だったんですけど、その後に、美しいキスをする流れなので、どの程度酔っていていいのかは監督とも話しながら考えました。理性がある感じのほろ酔いがいいのかとか。お風呂のシーンに関しては普段から何となく体は整えていので、そこまで心配はありませんでした(笑)。

――『癒やしのキス』では、お相手を演じた岩崎藤江さんが、伊藤さんのことを「キラキラ具合やチャラさが想像していた3倍くらいだったので衝撃でした」とコメントされていました。

格好がタキシードを着て、髪の毛もオールバックにしたんですけど、その見た目に助けられた部分もあります。衣装やメイクのおかげで勝手にスイッチが入ったイメージです。

――普段は絶対に言えないようなキザなセリフもありましたよね。

そのときは自分が漫画の中の主人公になったような気持ちで言っていました。普段は恥ずかしくて絶対に言えないです(笑)。撮影用のカメラが回っていなくて、スタッフさんがスマホで撮ってくれていたことがあったんですけど、そのときはすごく恥ずかしかったです。

――本作を通して楽しかったと思ったことは?

キスシーンは楽しかったですよ(笑)。普通のことではないからこそ刺激的でもありました。単にキスをするだけではなくて、いろんな動きや流れの中でキスをすることとか。そういうことを試行錯誤しながら、お相手の方と一緒にシーンを作っていくのは不思議な感覚もあって楽しかったです。

――これまで経験してきたキスシーンとは少し違うものがあったと。

そうですね。「あれ? カメラあったっけ?」って思うような、自分だけど自分じゃないように感じるくらい集中した瞬間もありました。

撮影/小嶋文子

――ちなみに、これまでで印象に残っているキスシーンはありますか。

やっぱり(映画『私がモテてどうすんだ』での)神尾楓珠くんとのキスシーンです。人生初のキスシーンだったんですけど、友達とすることになるとは想像していなかったので(笑)。

今後、それを塗り替えられるキスシーンがあるといいんですけど。ただ今回は刺激的という部分では大きかったので、また違った意味での印象に残るキスシーンにはなったと思います。

――「自分が想像していたより、すごく体力を使う撮影で、達成感を味わえる現場でした」というコメントも出されていましたね。

キスシーンを撮り終わると、その日の撮影が終わりというスケジュールだったんですけど、その日ごとにクランクアップを迎えたかのような気持ちになっていました。「やりきった!」みたいな(笑)。

体力的にもホントに何かスポーツをした後のような消耗の仕方で、「キスだけでこんなに体力使うんだ」って思いました。態勢がきつかったり、あとは息遣いとか、そういうのが影響していると思うんですけど。

だからそれをやり切ったことへの達成感があって、家に帰って食べるご飯がすごく美味しかったです(笑)。普段の撮影とは違う感覚はありました。