酸味をおさえたカンパーニュがおいしかった

【ラ ブティック ドゥ マモル】 カンパーニュ

「『カンパーニュ(700円)』は酸味が強いと思われているようですが、フランスにも酸味が弱いものがありました。ライ麦を発酵させると酸味が強くなるので、ライ麦の量を調節することで酸味を抑えたカンパーニュを焼いています」

できるだけ薄くスライスし、薄く切ったチーズや生ハムをのせて食べてもおいしいそうだ。

チーズとレタスをはさみ、オリーブオイルをかけてもおいしかった。70代や80代の女性がカンパーニュやバゲットを買っていくそうだ。

【ラ ブティック ドゥ マモル】 ちょっぴり辛いオリーブパン

私が感動した「オリーブパン(240円)」を中山さんがおすすめのパンにあげてくれた。

「バゲットの生地で作っているのですが、スペイン産オリーブにガーリックとカイエンペッパーを配合することで少しピリ辛に仕上げてあります」

オリーブオイルをつけて賞味したらオリーブの香りがふくよかになり、さらにおいしくなった。

「商店街とのコラボ商品を作るのが好きなんです」

中山さんがこの商店街を選んだ理由はもうひとつある。

「商店街とコラボし、新しいものをつくれたら愉しいだろうと思っていました」

【ラ ブティック ドゥ マモル】 ジャガイモパン

『Hakuraku Mökki』(ハクラク モッキ)とのコラボで開発したのが「ジャガイモパン」だ。Hakuraku Mökkiはクラフトビールとナチュラルワインとスパイスを使った料理を提供するカフェ&バー。同店のカレーにあうパンとしてジャガイモパンを考案した。

「マッシュポテトとヨーグルトを練り込んだ、もちもちのパンです。そのままでもいいし、サンドイッチにして食べてもおいしいと思います」

【ラ ブティック ドゥ マモル】 プチマッシュ(上)とジャンボメレンゲ

もうひとつコラボで誕生したものがある。パンではない。「プチマッシュ(280円)」というメレンゲだ。

「『立ち呑みMASH』が青唐辛子の三升漬を作っています。それを配合しているピリ辛のメレンゲです。ビールのアテにピッタリ」明日ひらかれるヤミ市用に焼いた『ジャンボメレンゲ』があるというので見せてもらった。

【ラ ブティック ドゥ マモル】 中山シェフが選んでくれたパンとお菓子

ヤミ市というのは、六角橋商店街が4月~10月(8月はお休み)の第3土曜日の午後8時から開催するフリーマーケットだ。

物販だけでなく、ジャズライブやダンス、商店街プロレスなどがひらかれる。

独立に際し、中山さんがオシャレな街とはひと味もふた味も異なるディープな商店街を選んだ理由が少しわかったような気がした。

【ラ ブティック ドゥ マモル】

住所/神奈川県横浜市神奈川区六角橋1-11-16

電話/045-834-9410

営業時間/8:30~16:30(土日祝日9:00~17:00)

定休日/火曜水曜

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。