3.日中の眠気を抑えるのに効果的な対策
ここでは、日中の眠気を改善するために効果的な方法をご紹介します。日常生活にすぐとり入れられるものもあるため、参考にしてください。
3‐1.朝と昼に日光を浴びる
日光を浴びることは眠気の改善に効果的です。
睡眠には、メラトニンとセロトニンというホルモンが深く関わっています。夜、眠くなるためにはメラトニンが必要ですが、メラトニンの原料となるのがセロトニンです。セロトニン神経は日光を浴びることで活性化され、分泌が高まります。
朝、起きたらカーテンを開け、しっかり朝日を浴びましょう。セロトニンは無限に増えるわけではないため、日中は15〜30分程度日光にあたるように意識しましょう。
3‐2. 就寝前の悪習慣をやめる
質の悪い睡眠は、睡眠不足の状態と同じです。
タバコやアルコール、寝る前のスマホなど、深い眠りを妨げる原因をとり除きましょう。
スマホやパソコン、ゲーム機から発せられるブルーライトは、体内時計を乱すだけでなく、脳を覚醒させメラトニンの分泌も抑制させてしまいます。メラトニンの分泌が少なくなると、眠りが浅くなり、睡眠障害にもつながるのです。
3‐3.毎日決まった時間に起床・就寝する
睡眠習慣を整えるためには、毎日寝る時間と起きる時間を決めておくといいでしょう。
眠りのリズムには、ホルモンも深く関わっています。
朝は、血圧や血糖値を上げて起床準備をするコルチゾールが分泌されます。コルチゾールは抗ストレスホルモンとも呼ばれ、朝に分泌のピークを迎えます。
また、夜になるとメラトニンが良質な睡眠をもたらします。メラトニンは、起床時から14~15時間後に分泌され始め、その2~3時間後にピークを迎えるため、起床時間と就寝時間に深く関わります。
そして、寝ている間には成長ホルモンが分泌され、細胞を修復したり、骨や筋肉を丈夫にしたりしています。しかし、成長ホルモンは深い眠りのときにしか分泌されないため、いかに質の良い眠りをするかが重要となります。
このように、眠りに関わるホルモンの分泌時間をそろえるためにも、規則正しい生活が大切です。
4.眠りの悩みには漢方もおすすめ
眠りの悩みは、人それぞれ違うもの。せっかく寝る時間を確保できても、いざ寝ようと思うと眠れない、長時間眠れない、すぐに目が覚めてしまう……などさまざまです。
漢方薬では、睡眠薬のように脳を眠らせるのではなく、眠りを妨げる原因に内側からアプローチしていきます。
日中の眠気は、睡眠不足、ストレスや緊張による自律神経の乱れや過労などが原因と考えられています。
日中の眠気の改善には、
・自律神経を整えて、ストレスを緩和し、睡眠の質を改善する
・血流改善によって中枢神経の機能を回復し、眠気を改善する
・栄養を全身に届けることで、心とからだを元気にする
などの作用を含む漢方薬を選び、根本改善を目指します。
漢方薬は眠りを誘発するのではなく、眠れる体質に導いてくれるため、より自然で質の良い眠りが得られるでしょう。
<眠りのお悩みにおすすめの漢方薬>
・酸棗仁湯(さんそうにんとう)
からだも心も疲れているのに、眠れない方に向いています。
気(エネルギー)を巡らせて、精神活動を司る心にたまった熱をとりさることで、眠りやすくします。
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
人付き合い、仕事などのストレスによる不安やイライラなどで眠れない方に向いています。
ストレスなどで滞った気(エネルギー)の流れを整えて、気持ちを落ち着かせることで不眠に働きかけます。
・加味帰脾湯(かみきひとう)
虚弱体質で血色の悪い方に向いています。
精神活動を司る心に血(栄養)を補うことで、精神活動を安定させてイライラや不安、不眠を改善します。
眠りの悩みは人それぞれ違い、ときには複数の漢方薬を組み合わせた方が良いケースもあります。また、症状が似ていても、体質やタイプによって使う漢方薬が異なる場合もあります。
漢方薬を選ぶときに重要なのは、その人の状態や体質に合っているか、ということです。うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
スマホで気軽に専門家に相談できる「あんしん漢方」のような、オンライン個別相談も話題です。あんしん漢方はAI(人工知能)を活用し、漢方のプロが効く漢方を見極めて自宅に郵送してくれるオンライン漢方サービス。
スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談できますよ。お手頃価格で不調を改善したい方は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。
5.適切な睡眠時間を確保して体内リズムを整えよう
睡眠は、からだだけでなく、心の疲れを回復させるためにもとても大切です。
若い世代は、仕事や育児、家事などやることが多く、つい睡眠時間を削ってしまいがちです。しかし、しっかり睡眠をとらないと、日中のパフォーマンスが低下したり、疲労感が増したり、イライラしたりと悪影響が出てしまいます。
大切なのは、しっかりと睡眠時間を確保することと、体内時計を整えて質の良い睡眠をとることです。
ぐっすりと眠り、スッキリと目覚めて、いきいきした毎日を過ごしましょう。
<この記事を書いた人>
あんしん漢方薬剤師
相田 彩(あいだ あや)
昭和薬科大学薬学科卒業。総合リハビリテーション病院・精神科専門病院・調剤薬局の現場で漢方薬が使用される症例を多く経験。
医薬品での治療だけではなく、体質や症状に適した漢方薬を活用し根本改善を目指すことの重要性を実感する。
現在は、症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でサポートを行っている。