制服の着こなしも注目して観ていただけたら

撮影/小嶋文子

――酒井麻衣監督とのやり取りで印象に残っていることはありますか。

僕が演技のことは何もわからない状態だったので、シーンごとにアドバイスももちろんいただいたんですけど、一番印象に残っているのはクランクインをして2日目くらいに言われたことで。

僕も久間田さんも人見知りでなかなかコミュニケーションが取れなかった上に、僕が、俳優さんが撮影前を普段はどんなふうに過ごしているかがわからないこともあって、あまり話しかけないようにしていたんです。

そしたら監督から現場を作る座長として、久間田さんだけでなくスタッフさんたちにも話しかけて、雰囲気を作るのも仕事だと言われたんです。そうすることによって演技がやりやすくなったり、作品がいい方向に向かったりすると教えていただいてから、積極的に話すようになりました。

確かに実践してみると現場の雰囲気が良くなって、僕自身もやりやすくなったので、そのアドバイスはとても大きかったです。自分がわからないことを周りの人に素直に聞けるようになったり、ちょっとミスをしてしまったときも重い空気にならずに済んだり。

本番前でも話していいんだということをわかってからは、みんなでワイワイしゃべって、その流れで撮影をすることもありました。気持ち的に楽になりました。

――最初のうちは久間田さんに話しかけるたびに監督に報告を入れていたとか。

監督は見守ってくださっていましたし、聞かれることもあったので、「今日は僕から話しかけにいきました」とか、「久間田さんから話してきてくれました」とかの報告をしていました(笑)。

撮影/小嶋文子

――青磁の制服の着こなし方がとてもかわいかったのですが、白岩さんから何かアイディアを出したことはありましたか。

候補がいくつかある中で、僕の意見も聞いていただけることはありました。青磁ってシーンによって制服のブレザーを着ていたり、パーカーだけだったりもするし、そもそもつなぎをいつも着ているので他の生徒たちとは全然違うんです。よく見てもらうとわかるんですけど、靴もかわいくて。

Yシャツの色も、普通、学生だと白とか水色とか、あとは時々、黄色とかはあると思うんですけど、青磁はグレーで、そこに黒のネクタイをしていて。それは個人的にもカッコいいなと思いました。

つなぎもそのままつなぎとして着るという案もあったんですけど、腰に袖を巻いてダボッとさせるほうがカッコいいとか、監督と衣装さんと僕とで話し合って決めました。

パーカーもいくつか選択肢があったんですけど、袖が切れていて、ちょっと大きめの黒がいいんじゃないかとか。こだわって決めたんです。

僕、この作品に出てくる青磁の制服がすごく好きで、自分が現役の高校生のときにこの映画を観ていたら「めっちゃおしゃれだな~」って思うと思うので(笑)。少しマニアックなポイントになりますけど、シーンによって着こなしも変えているので、そこも注目して観ていただけたらうれしいです。

©2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会

――青磁が絵を描くキャラクターということで、白岩さんも絵を勉強されたそうですね。

これまで絵を描く機会がなかったし、自分から積極的に描くってこともしてこなかったんですけど、今回でだいぶ上達したと思います(笑)。

絵を指導してくださった方が、僕と同年代ですごく意気投合したんです。とても親身になってくださって、絵を描くところを「こうやって描くといいんだよ」って、動画に撮って送ってくださったり、ペンの持ち方から、細かいディテールまで全部教えてくださって。

だから僕もその想いに負けじと、家に画材を持ち帰って、絵の具の出し方とかの道具の扱い方から何回も練習して。そしたら今回、僕が実際に描いた絵も、劇中で2つ使ってもらえたんです。それもすごくうれしかったです。

もともと絵を見ることは好きで、それこそ部屋に抽象絵画を飾りたいと思って調べたりもしていて絵自体には興味があったので、それを自分で描けるようになったという楽しさがありました。