過去の自分が今の自分を作ってくれている

撮影/小嶋文子

――青磁と茜は幼いころに感じたことが今に大きく影響しているキャラクターでもありますが、白岩さんにも昔の出来事や受けた印象が今に影響していることはありますか。

誰かとの時間とか、人との出会いとかを大切にする気持ちは強い気がします。JO1として活動をする前に所属していたグループでは、メンバーの数よりも少ない人数のお客さんの前でライブをしなくてはいけないこともあったので、そのときに感じた気持ちが今の僕を作っているなと感じることはあります。

確かにその当時は大変だったかもしれないんですけど、大切な時間だったと思います。過去の自分が今の自分を作ってくれているので。今あるもののありがたみをより感じられていると思います。

――青磁と茜の関係性を、客観的にはどのように感じていましたか。

不器用で素直になれない感じはすごくわかるし、かわいいなって思います。青春だなって感じます(笑)。

©2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会

――茜は周りから嫌われることを恐れて周囲にいい顔をしてしまいますが、もし白岩さんの近くに茜のような人がいたとしたらどんなふうに接してあげますか。

今の世の中ってわりと茜みたいな人は多いと思うんです。集団心理じゃないですけど、周りから嫌われないように、輪から外れないようにって考える人が多い気がするんです。

自分が言いたいことがあっても我慢をして言わないとか、空気を読み過ぎてしまうとか、むしろそういう人が大半で、だからこそ好き勝手やってる人がうまくできているってところもあるんじゃないかと。

もちろんみんながみんな好き勝手にやっていたらまとまりがなくなってしまうし、我慢してくれる人がいるからこそ、好き勝手やっている人も輪に入っているように見えるのかなって思ったりもして。

だから茜のような人がいたらというより、みんな茜の気持ちは共感できると思うんですよね。

その上で僕から言えること……なんだろうな、僕も空気を読んでしまうところはあるし、自分がこうだって思ったことでも、少数派だと思うと自信がなくなってしまうこともあるからな。

けど、それでも僕がいつも最終的に思うのは、自分がこうだと思うことを素直に伝えて、それを頭ごなしに批判されたり、それによって自分から離れていく人がいたとしたら、そんな人は最初からいらないというか、遅かれ早かれ離れていく人だったと思うんです。

僕は自分の意見が言えたり、人の意見が聞けたりする環境のほうが絶対にいいと思うし、もし自分の意見を我慢してつらい想いをしているのなら、その環境以外にも他の道はいっぱいあると思うんですよね。

例えば、僕はそういう感じの悩みをメンバーとか、友達とかから聞いたとしたら、逃げる選択肢も全然あるのになって思います。逃げるってダメなことだと思われがちですけど、人生わざわざそんなにつらいほうに行って我慢する必要はないと思う考え方なので。

僕は青磁からそういうイズムも感じて。人生は一度きりなんだから、自分が我慢ばかりしてつらいことする必要はないよって。僕もそう伝えてあげられたらなと思いますし、そういうところからも青磁に親近感が湧いたのだと思います。


自身の映画出演をJO1のメンバーには自分から伝えることはなかったと明かす白岩さんでしたが、インタビュー中には何度もメンバーの話や活動に触れるエピソードを話してくださり、その際に見せる笑顔は本当にうれしそうでした。

重なる部分が多かったという白岩さんが演じた青磁は、カラフルでありながらも優しい色合いを感じさせる映画の中で、より美しく繊細に、でもとても強く存在しています。ぜひその姿を白岩さんも観たいとおっしゃっていて映画館の大きなスクリーンでお楽しみください。

作品紹介

映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』
公開中