色気、出ちゃってましたか(笑)

撮影/小嶋文子

――試写を2回続けて観たというお話を聞いたのですが。

1回目は試写室で、事務所の社長やスタッフさんとかと一緒に観たので、皆さんのリアクションが気になって集中できなかったんです。

自分で自分の作品を観るのは初めてだったから恥ずかしさもあったし、隣の席が社長で、僕がスクリーンに出てくる度にちょっかいをかけてきたりして(笑)。愛されてるなとは感じたんですけど、内容が頭に全然入って来なくて。

それでそのあと、冷静に一人で観ました。そのときにようやく内容が入ってきました(笑)。それから今までで4回くらいは観たので、3、4回目になると、次に新たに演技のお仕事が来ることがあったらどう活かそうかとか、このシーンは良かったとか、もうちょっとこうできたんじゃないかとか、細かい部分まで観られるようになりました。

――やはり自分の演技を見るのは恥ずかしいのですか。

はい(苦笑)。それこそ『ショート・プログラム』のときは、一人では恥ずかしくて観られずに友達を呼んで一緒に観ました。今回も一人では観たくなかったんですけど、友達にも映画館で観てほしいと思ったので、呼ばずに一人で観ました。

――完成作を観て、作品としてはどんな印象を受けましたか。

それぞれのシーンごとに撮影前には台本を確認して前後のつながりを意識しながら演じてはいたんですけど、それが編集されてつながって、音楽とかも入ったものを観たときは別ものというか、すごく感動しました。

青磁が出ていないシーンは、台本を読んでいて内容は知っているわけですけど、映像として観るのは初めてだったから、お客さんとして観るような、新鮮な気持ちで観れて楽しかったですし、改めていい映画だなと思ったことが一番の感想です。

映像がとてもきれいで、自分の初めての主演映画がこの作品で良かったなと、『夜きみ』で良かったなと思っています。

――映画館の大きなスクリーンで観たら、また違う感動がありそうですね。

大きなスクリーンではまだ観たことがないので、本当に(映画公開初日の)9月1日に映画館に観に行こうかなって思っています(笑)。

撮影/小嶋文子

――茜が付けているマスクに青磁が直接絵を描く場面がありますが、観ていてとてもドキドキしました。

いくつかあるキュンキュンするシーンの1つですね(笑)。あそこは結構時間をかけてこだわって撮ったところで、僕自身もいいシーンだなって思いました。重要なシーンですね。

――個人的な感想なのですが、あのシーンばかりは高校生の青磁に加えて、25歳の白岩さんの色気も出ていたんじゃないかと(笑)。

僕自身も好きなシーンだったので楽しく撮影はしていたんですけど、色気、出ちゃってましたか(笑)。でもそういう感想もうれしいです。

他にも自転車の二人乗りをするシーンとか、屋上のシーンとか、自分では良かったんじゃないかな?とは思うんですけど、やっぱり他の人が観てどう思うかはわからないじゃないですか。だから今、そういう感想を言っていただけて少し実感できました。

©2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会

――予告編にも使われている、屋上で青磁と茜がペンキを塗り合うシーンもとても素敵でした。

あのシーンは台本には「屋上で青磁と茜がペンキを塗り合う」としか書いてなくて、細かい設定も指示もなかったから、監督がOKを出してカメラが止まるまで久間田さんと二人で演技し続けました。

全部アドリブだったので、演技経験の少ない自分にとっては大変なことで「どうしたらいんだろう」と考えることもあったんですけど、最終的には「もう本気で楽しんでやるしかない」と思ってやりました。

確か3回くらい長回しで撮って、大変ではありましたけど楽しかったですね。色も好き放題に使って、自由に動いていたので。

――久間田さんとは事前に多少の打ち合わせはしたのですか。

いえ、していないです。撮影が始まるまでは一緒にはいたんですけど、全然関係のない話をしていました。それでお互いに和んで、本番になったら全部アドリブで。

――お二人の間に青磁と茜としての関係性ができていたんですね。

そうですね。撮影期間の最後のほうの時期でもあったのでだいぶ打ち解けていて、お互いに役として分かり合える部分ができていたので、雰囲気的にはやりやすかったです。