選択が正解となるようにしていくことが自分の役目

撮影/小嶋文子

――本作は高校生が主人公の作品ですが、演じていて「高校生らしいな」と感じたシーンはありますか。

予告編にも入っている茜と沙耶香(箭内夢菜)が青磁のことを好きなんじゃないかみたいに話してキャピキャピしているのは学生ならではだなって。僕は出ていないシーンなんですけど(笑)。

あとは帰り道に青磁と茜が自転車の二人乗りをするところとか、体育の授業でサッカーをするところとか、大人になったらなかなかできないですよね。そもそも制服を着て学校に行くということ自体がもうないことなので、ずっと青春を感じていました。

――ご自身の高校時代の出来事がよぎるとか?

いや、それは(笑)。僕、青磁みたいに目立ってワイワイするようなタイプではなかったので、あんな感じの思い出が少ないんです。だからよみがえっては来ませんでした(笑)。

――そんな中でも印象的な学生時代の思い出はありませんか。

高校1年生の文化祭で劇をやりました。『ピーターパン』の話をやったんですけど、僕は役を決めるときはその場にいなかったのに、台本を見てみたらピーターパン役で名前が入っていて(笑)。主人公をやりきって、結果的に優勝したことは思い出に残っています。

クラスごとにやることを選んでいって、僕たちのクラスはじゃんけんか何かで負けて一番人気のない劇をやることになったんです。それなのに優勝できたことは一番の思い出です。

――素直に主役をやることを受け入れたんですね。

いや、結構抵抗はしたんです。最初のシーンなんて教室の上の窓から入って来るんです。そういうことを思い返すとすごく恥ずかしい(笑)。けど、それも含めてみんなで作っていけたことが楽しかったです。

撮影/小嶋文子

――青磁にとっての絵のように、白岩さんが学生時代に熱中したものは?

ずっとサッカーが好きでした。中学生のときは学校から家に帰る間もなく、そのままクラブチームの練習に行って、夜帰ってきて起きたらまた学校みたいな暮らしを3年間していました。

ただ、小学生のときにはじめて中学まで8年間続けたんですけど、どっかでもういいやって思ってしまって。周りが遊んでいるのを見ていたらすごくうらやましく感じたんです。僕は電車に乗りながら太ももを机代わりにして宿題をやったりしていたけど、こんなに頑張る必要があるのかな?って。

その頃に今やっているような世界とかに興味が出てきたこともあって、サッカーでご飯を食べていくのでなければもっと他のやりたいこととか、それこそ周りがやっていたような青春を送りたいと思って。それで中学でサッカーはやめて、高校は青春に時間を注ぎました。

――その選択は良かったですか。

その当時にできた友達といまでもずっと仲良くしていて、本当に僕の支えになっているので、その出会いも含めて良かったなと思っています。

もちろんサッカーをやっていた8年間は決して無駄ではなかったし、そういう選択の一つひとつが自分を変えていくわけですけど、選択の結果が正解かどうかなんて、結局誰にもわからないと思うんです。

だからこそ、その選択が正解となるようにしていきたいと思うし、今こうしてこの場にいることもサッカーを選んでいたらなかったかもしれないから、あのときの選択で良かったと思っています。