監督からは「困ったらお互いに聞けばいいんだよ」って言われて

©「マイストロベリーフィルム」製作委員会・MBS

――自分が演じた役をどう捉えていましたか。

深田:凌は僕とは真逆というか。テンションも高くないし、感情の起伏も激しくないし、物静かで、クールで。だから演じるのは大変でした(苦笑)。クールに見せようとして声を低くしてみたりもしたんですけど、変にカッコつけているようになったり。凌自身はカッコつけてはいないので、そこは難しかったです。

矢花:光はとにかく明るくて、基本的に誰かに対して臆することがない。いい意味でも、悪い意味でも他人をあまり気にしないがゆえに、自分のペースがしっかりある人です。あとはスポーツ万能で、クラスの中でも中心的なポジションで、僕とは真逆でした。

深田:お互いに自分とは真逆のキャラクターでした。

矢花:学生時代、凌みたいに静かだったわけでもないんですけどね(苦笑)。ただ光と違って、僕はわりと周りの目を気にします。「今、この人はどう考えているんだろう?」とか、「どんなふうに言ったら語弊なく伝わるんだろうか?」とか、癖でそういうことをすぐに考えてしまうんです。それが光を演じていてもつい出てきてしまって。

深田:悩んでましたよね。「矢花黎が出ちゃう」って。

矢花:正直、すごく苦労しました。川崎監督から「もっとこうしたほうが光っぽいんじゃない?」と言われたときに、「なんでそうなるんだろう?」と考えると、(人の目を気にする)矢花がいるという(苦笑)。「あっ、また(自分が)出てしまった」と。

――相手が演じた役にはどんな印象を持っていましたか。

深田:光は、凌と比べると、普段の僕に近い感じがします。元気で、明るくて、ちょっとアホっぽいところがあって(笑)。いつもニコニコしていて、その場を明るくしてくれるような人だと思っていました。

矢花:凌は自然体でクール。僕も学生時代、あんなキャラクターでありたかった。「絶対にモテるじゃん」って人ですよね(笑)。けど、それをカッコつけてやっているわけではないから憎めない。ジェラシーですね。

――お二人とも、相手のキャラクターのほうに似ている部分があるのですね。

深田:最初の頃、よく言ってましたよね。「逆だよね」って。

矢花:特に凌の音楽を作ることが趣味という部分は自分と重なりますね。監督からは「困ったらお互いに聞けばいいんだよ」って言われて(笑)。

――実際に教えてもらったことはありますか。

深田:それこそ音楽面についてはいろいろと教えてもらいました。凌はパソコンが使えるんですけど、僕は使ったことがなかったので、「こうやったらカッコ良く見えるよ」みたいな触り方とか、細かく教えてくれました。

矢花:使ってないほうの左手が不自然な位置にあって(笑)。「普段から使っている人ならここに置くと思うよ」って。

深田:カッコいいやり方を教えてもらいました。

矢花:そういう言い方をすると、普段、俺がカッコいいを意識してパソコンを使ってるみたいに聞こえるから(笑)。

深田:カッコいいやり方を教えてもらいました!(笑)。

矢花:違う違う! 自然なやり方を教えただけ(笑)。

――矢花さんが深田さんを参考にしたところはありましたか。

矢花:さっきも言ったように、このドラマで共演をするまでは、深田竜生がどういう人間なのか、深いところまでは知らなかったんですけど、いろんな話をしていく中で徐々に知っていけたので、それが光のキャラクターにも影響すればいいなとは思っていました。

実際に光について悩んだときは、「この人だったらどうするんだろう?」と考えることもありました。目の前にモデルがいたので、すごく助けられました。

深田は、撮影現場でもいろんなスタッフさんとフランクに話をしていて、コミュニケーション能力があって、溶け込むのが上手いんです。まさしく、光もそういうタイプだと思っていたので、影ながら細かいところまで観察していました。

深田:知らなかった(笑)。

――深田さんは、共演してみて気づいた矢花さんの一面はありましたか。

深田:気づいたというか、仲良くなっても印象は変わらなかったです。「すごく優しいバナさん」という感じで、よりいい人だなと思いました。

矢花:無理して言わせてる?(笑)

深田:そんなことないです(笑)。先輩なんですけど、いい意味で先輩感がなくて、フランクなんです。だから、相談もしやすいし、ちょっとした弱音も言えて本当に助かりました。撮影中は気が張ることもありましたけど、そんなときにバナさんと話すと緊張が緩んだり、「これどうしますか?」って、相談に乗ってもらったり。

矢花:「一緒にやっててやりづらくないですか?」とかって聞いてくれたりもしましたけど、僕はやりづらいなんて思ったことはなかったし、「そんなこと気にしなくていいよ、気負わずにやればいいと思う」って話しました。

ドラマの話以外にも、「こういう仕事のとき、どうでした?」みたいな、事務所の先輩・後輩としての話もしたり。そうやって和めればいいなと思っていました。

深田:和ませてもらいました(笑)。