台北から東回りで南下を続け、台湾第二の都市・高雄に到達した筆者。これで台湾を半周以上したことになる。
高雄では、できたばかりのレトロモダン民宿を見学したあと、廟前食堂の豚モツとワンタンを肴に、コンビニで買った缶ビールを流し込んだ。
高雄・鹽埕のホットスポット
高雄の鹽埕(イェンチェン)という港町には、どこか懐かしい古風な町並みが残っている。
いくつかあるアーケード商店街は時代に取り残されたようにひっそりとしているが、それでも中には曇りガラスの向こうに年配の現役店主が座ってテレビを見ていたりする店もある。
そんな旧アーケード商店街のひとつに「高雄銀座」と呼ばれる場所がある。
神奈川県生まれの私には、銀座というより横浜の伊勢佐木町のような匂いを感じるのだが、1970年代半ば頃までは洗練された服飾店などで賑わったそうだ。
以降は老朽化が進むばかりだったが、そんな「銀座跡地」に新しい動きがある。
古いウエディングサロンを改装し、レトロモダンな民宿『叁捌旅居』を作ったオーナーが、旧高雄銀座の一角に1棟貸し切りの民宿をオープンしたのだ。その名も「House of Takao Ginza」。
1階と2階は誰でも入れるカフェになっており、3階以上が宿泊施設。1泊1組限定で、最大4人まで泊まれる。
靴を脱いで足を伸ばせる和室、骨董家具の本棚、レトロなタイル貼りのお風呂や洗面所、広々としたキッチンやダイニングテーブルなどが完備されている。
懐かしさと洗練された感じが両立していて、とってもおしゃれ。
案内してくれた女性いわく、「古いものを今に活かすには、やはり手入れが大事」だそう。壊れた部分を丁寧に直し、汚れたところはきれいに磨き上げる。
そうしてこそ、古いものが昔の姿のままよみがえるのだ。
昭和を思わせるタイル貼りの洗面台は、なるほど彼女の言う通りピカピカに磨き上げられていて真新しいようでいて、積年の風合いもしっかりと見て取れるからおもしろい。