3年半ぶりの台湾旅行。連載5回目は、成田から桃園に向かう飛行機の中で急に台湾一周(3度目)を思いつき、鉄路で時計回りに南下し始めたときの話。
一週間あれば余裕で台湾一周できる
コロナ騒ぎが起きる少し前の2019年11月、鉄路で途中下車しながら美味しいものを食べ歩く7泊8日の取材旅行をした。
そして今回、3年半ぶりに台湾旅行を決めたとき、あまり深く考えずに一週間くらい滞在しようと往復航空券を予約した。
よく考えたら一週間はけっこう長い。行きの機内で、「一週間あれば余裕で台湾一周できるよな」と考えた。
台湾という九州ほどの島は、一度一周すると次もまた一周したくなる。なんとも言えない達成感が得られるからだ。
1カ所にとどまっていてはもったいない。次の街へ行けばもっとおもしろいことが待っているんじゃないか? 美味しいものがあるんじゃないか? そんな気持ちになる。
台湾一周、最初の目的地は北東部の礁渓温泉
飛行機が桃園空港に着く頃には、思いつきだった台湾一周計画が頭の中で具体化していた。
北投の朝市でおなかを満たしたあと、向かったのは台北駅。5月半ばの台湾は雨季に入りかけていて、天気予報では雨マークが多い。天気がよさそうな東海岸を目指し、台鉄の切符を買った。
最初に降りるのは大好きな温泉街、礁溪(ジャオシー)だ。北投で温泉につかったのに、また温泉? と自問したが、温泉浴のあとの冷たいビールを想像すると、気持ちが盛り上がる。
台北から礁溪までは自強号という特急列車で1時間と少し。台北では旧友ヤンくんが街歩きに付き合ってくれたが、ここからはひとり旅だ。
台北駅を出発した列車はしばらく街なかや住宅地を走った後、森を分け入り、山を越え、台湾北東部の海岸線へと出る。1時間のあいだに目まぐるしく変わる車窓に見とれているうちに、礁溪に到着。
3年半ぶりに訪れる駅前は、相変わらずちょっと垢抜けない温泉街といったふうで、ホッとした気持ちになる。
礁溪駅では「行李房」と書かれた荷物預り所に直行し、スーツケースを預けた。途中下車の旅ではスーツケースが邪魔になるので、列車を降りたらまずは大きな荷物を「行李房」に預けることが大事だ。
朝から夕方までは一律料金で、大きさに関わらずたいていひとつ50元。コインロッカーよりも安上がりなことが多い。