約900円の温泉体験

【台湾食べ歩きの旅 #5 】礁溪の駅から徒歩10分ほどのところにある礁溪温泉公園。広々とした園内には足湯コーナーがあり、無料で楽しめる

荷物を預けて身軽になったので、礁渓駅から歩いて10分ほどのところにある礁溪温泉公園に向かった。

ここには無料で足湯が楽しめる施設があり、いつもお年寄りや親子連れが十数人、膝下を温泉につけておしゃべりをしている。

この温泉公園をさらに奥へ進むと、森の中に木造日本家屋のような建物が現れる。木の看板に「森林風呂」とある。県立の温泉施設なので、他と比べて利用料が安い。

【台湾食べ歩きの旅 #5 】日本のデザイナーが設計した森林風呂の入口。周辺の公園も落ち着いていて、湯上がりの散歩にちょうどいい

とは言え、前回来たときよりも少し値上がりしたようで、大人は1人200元(約900円)だった。台湾には水着で入る温泉施設がまだまだ多いが、森林風呂は日本のように裸で入る。

しかも、全露天で、石造りの広い湯船がいくつかある。少し熱めの湯、ぬるめの湯、浅い湯など5種類ほどあり、おばちゃんたちが数人で世間話をしたり、湯船の脇のベンチに寝転がったりと、それぞれが気ままな入浴タイムを過ごしている。

木々に囲まれた温泉施設なので、湯船に落ち葉が浮かんでいたり、苔がむしていたりするのだが、開放感たっぷりで、つい長居してしまう。

風呂上がり、ビールが飲める店探し

【台湾食べ歩きの旅 #5 】風呂上がりの散策で見つけたカモ肉専門店。店前の人だかりは人気店の証拠

礁溪のぬるめの温泉にのんびりと浸かり、身支度を整えたら、ビールが飲める店探し。再訪したい店もあるけれど、ここは新規開拓をしたい。

礁溪の駅から歩いて行ける範囲をぶらぶらしていると、ある店の前で数人の人だかりを見つける。

最近はGoogleマップを頼りに飲食店を見つけることもできるが、地方都市はまだまだ情報が少ない。自力で歩いて美味しいごはんにたどり着くからこそ満足度が高いのだ。

ガラス越しに見える店内は、家族連れや一人客などで半分以上埋まっている。どうやらカモ肉専門店のようだ。カモ肉やガチョウ肉を扱う店はビールを置いているところが多いのだが、ここは例外だった。残念。

でも、諦めてはいけない。店主らしき人に「ビールが飲みたい」と伝えると、コンビニを指さされ、「自分で買ってきて」と言われた。台湾の食堂では、かなりの高確率でアルコール持ち込みがオーケーなのだ。

大量に買い込んで長時間居座るとなると敬遠されるが、一人客が缶ビールを1本持ち込むくらいは何ともない。さっそくコンビニで台湾ビールを1本買い込む。昨日は「クラシック」を飲んだので、今日は「金牌」にした。

スライスされたカモのもも肉にたっぷり醤油ダレがかかったものが運ばれてくる。入浴後、店を探して歩き回ったので喉はカラカラだ。

【台湾食べ歩きの旅 #5 】肉汁したたるカモ肉プレートを独り占め。台湾ビールは近所のコンビニで調達

湿度の高い台湾で風呂上がりに飲むのはビール以外に考えられない。プシュッ! 350ml缶を一気に三分の一くらい乾す。

喉の乾きが癒えたところで、カモのもも肉プレートを贅沢にも独り占めである。台北ではガチョウ沼に溺れたが、礁溪ではカモ沼にハマる。午後の至福のひとときだ。

(つづく)

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みつせ のりこ:90年代から台湾と関わり、台北で留学や就職、結婚や子育ても経験。現在は執筆や通訳、取材コーディネートの仕事で日本と台湾を往復している。著書に『台湾の人情食堂 こだわりグルメ旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾縦断! 人情食堂と美景の旅』『台湾一周!!途中下車、美味しい旅』など。株式会社キーワード所属。