東海岸沿いを列車で南下しながら、昨夜初めて訪れた町、関山(グアンシャン)で土砂降りの雨に見舞われた。
激しい雨音を気にしながらベッドに横になり、明日は晴れますように、せめて雨が止みますようにと祈りながら眠りにつく。
民宿のレンタル自転車に乗って朝ごはん屋さん探し
翌朝、5時過ぎに目を覚ますと、どんよりと曇ってはいるが、雨は止んでいた。身支度を整えて部屋を出ると、民宿のロビーにママチャリが3台ほど置いてあるのに気づく。
前カゴに大きく民宿の名前が書いてあるので、客が使ってもいいのだろう。
台湾はじつは列車だけでなく、自転車でも一周できる。サイクリングが趣味の台湾人の友人は、列車で台湾を一周する私に、「今は自転車で一周するのが流行りだ」と笑っていた。
この民宿のように自転車を無料で貸し出すホテルは珍しくない。主要都市以外ではタクシーも拾いにくいので自転車は強い味方だ。さっそく1台拝借して、雨上がりの町を走り出した。
自転車で走ってみると、関山という町は思っていたよりもずっと小さいことがわかった。
駅を中心に南北に幹線道路がのびていて、それと交差するように格子状に道路が何本か走っているのだが、中心部の幹線道路は1キロほどしかない。つまり、自転車で5分も走れば、町の北から南までを抜けられるのだ。
豚角煮バーガーと豆乳の朝ごはん
宿から出て角を曲がると、人だかりのしている朝食店があった。この町の規模では店の選択肢は多くはなさそうだ。私は自転車を停めて店内の席を確保した。
シンプルな赤い立て看板に「永和豆漿」という白い文字がくっきりと浮かんでいる以外は、装飾も何もなく、店内は殺風景だ。
けれど、ひっきりなしに客が出入りし、店の前にもたくさんの人が待っている。界隈に朝食店が少ないからだろうか?
いや、それだけではなさそうだ。昨夜は気づかなかったが、すぐそばにはちょっとおしゃれなカフェもあり、若者がサンドイッチとコーヒーで静かな朝のひとときを過ごしている。
この永和豆漿に客があふれているのは、どうやらその品数の豊富さに理由がありそうだ。
マントウ、蛋餅(卵巻き)、油條(揚げパン)、豆乳などの定番メニューはもちろん、大根餅、サンドイッチ、焼きそばなど、ジャンルをまたぐ品を扱っている。
目を引いたのは大きな豚の角煮が入った寸胴鍋。通常なら夜市のメニューである割包(豚の角煮バーガー)だ。
豆乳と割包は悪くない組み合わせだ。手作り感満載の割包で、ふっくらとして弾力がある皮に、ほどよく油の乗った濃厚な豚の角煮が包まれている。
朝から脂っこいけれど、さわやかな豆乳でバランスがとれそうだ。