穏やかな瀬戸内海。朝風呂からの安らかな二度寝

午前5時、地鳴りのような音に目を覚ます。昨夜、予告のあったイビキである。

Bは細身なのだが、なかなかの重低音だ。

しかし、一年前、同じ船に乗ったときの身が詰まった体形の相棒のイビキと比べれば、たいしたことはない。

定刻通りなら船は瀬戸大橋をくぐる頃だろう。往路のときのような船の揺れもない。再び眠りについた。

【大阪↔釜山 クルーズ体験記】船が瀬戸大橋を通過

次に目覚めたのは6時頃。早く眠ったせいか二日酔いは軽い。朝風呂につかる。瀬戸内海の海はおだやかだ。ここからの二度寝は至福の時間である。

【大阪↔釜山 クルーズ体験記】大浴場は15時~23時、5時~8時30分に利用できる。サウナもある

9時過ぎに目覚める。下船は10時30分との案内があった。

自分が関西の人間だったら、ここで現実に引き戻されるのだろうが、関東人にとって大阪はまだ旅先である。

下船してパンスタードリーム号の船体を振り返る。

2025年の春、この航路にはパンスターミラクル号という新船がデビューするらしい。

ドリーム号とはこれでお別れかと思うと、少々センチメンタルになる。おつかれさまでした。

旅の打ち上げは、環状線天満駅前で

筆者は新幹線で東京へ。相棒Bは関空から飛行機で千歳に帰る。打ち上げと称して環状線の天満駅前で一杯やることにした。

まずは日本一長いといわれる天満橋筋商店街を北上して眼鏡市場の先を左折、大通りを渡って天五中崎通商店街に入ってすぐ左にある創業70年の老舗「うまい屋」で、たこ焼き&キリンビール。韓国のビールは総じてライトなので、日本のビールは飲みごたえがある。

【大阪↔釜山 クルーズ体験記】天五中崎通商店街の老舗「うまい屋」のたこ焼きとビール

駅に戻りながら、創業50年の「天満 酒蔵」へ。カウンターに座って追いビール。

店を出るとき、「おおきに」の言葉を背に受け、大阪を去りがたくなった。

関東関西を横断して韓国に行くなんて酔狂な、とよく言われるが、釜山に加え大阪も楽しめるところが、この旅の魅力なのだ。

新造船パンスターミラクル号の就航を待たずに、またパンスタードリーム号に乗りに来てしまうかもしれない。

※パンスタードリーム号は、大阪→釜山の月曜・水曜発が15時、火曜・木曜着が10時。金曜発が17時、土曜着が12時。

釜山→大阪の日曜・火曜・水曜発が15時、月曜・水曜・木曜着が10時。筆者が利用したツイン部屋(デラックススイート)の通常料金(2024年7月15日帰着まで)は、大人往復が40,000円、片道が23,000円。割引キャンペーンもよく行われているのでリンク先を要チェック。Instagram

1962年生まれの編集者。株式会社キーワード代表。ウレぴあ総研に寄稿中のチョン・ウンスクと光瀬憲子の著作の企画編集を担当。編集作品に、『図解 儲けのカラクリ』(三笠書房)、『知識ゼロからの仏教入門』(幻冬舎)、『旅と酒とコリアシネマ』(A PEOPLE)、『台湾一周!! 途中下車、美味しい旅』(双葉社)など。著書に『47都道府県 ケンミン性のヒミツ』『県民性の謎がわかる本』(いずれも幻冬舎)。