「表現力と発言力を鍛えなさい」
――演劇とプロレスは違う種類の興行でありながら、表現するという観点では共通項もあると思います。演じてみて発見はありましたか?
勝俣:この舞台自体、社長(DDTプロレスリング社長、高木三四郎さん)の、DNAのメンバーに「表現力を身につけてほしい」「表現力を高めてほしい」という思いから立ち上がったものなんです。
――表情とか体の動きとか、プロレスの試合を観ていると、皆さんすごいなぁと思わされるんですが、さらに表現力を磨き、高めてほしいと。
上野:DNAに期待してくれているから、こういう場を用意してもらったんだ、とは感じています。感情を伝えるという意味での表現力の他に、「発信力も鍛えなさい」とは言われていますね。DNA単体で月に一度興行をしていますが、まだ表現力も発信力も足りないなとは感じています。
――普段、プロレスラーが客席に向けて言葉を発するのって、試合後のマイクパフォーマンスがメインですよね。あとは試合中の痛みに耐える声。今回、演じることでセリフを通して感情を伝えるわけですが、そのあたりはやってみてどんな感想を持ちましたか?
上野:感情の出し方を日々学んでいますね。自分なりに考えた後、監督に「ここのシーンの竜輝くんは、どういう気持ちなんでしょうか?」と確認して、その気持ちをセリフに乗せて、お客さんに伝わるよう特訓しています。
勝俣:プロレスの試合中は、リアルに痛いから、痛みを感じる声が自然と出るんです。でも、役者として舞台にあがると、実際痛くなくても、痛みを感じる演技をしないといけない。
――確かに。そこは全然違うところですね。
勝俣:はい。それと関連して思い出したのは、たとえば「なんだよ」とダルそうに言わないといけないのに、がんばってダルそうに言おうと思うと声が小さくなって、声を大きくしようとするとダルそうな感じがなくなってしまったこと。難しかったですね、あれは。ひたすら他の人の演技を見て勉強しています。
日替わりゲストのシーンも見どころ
――舞台の見どころについてもお聞きします。今回DNAメンバーだけでなく、DDT所属のプロレスラーが日替わりゲストになったり、ゲスト俳優がいたりと、公演期間中何度見ても飽きなさそうな仕掛けがありますよね。
上野:日替わりゲストは重要なシーンに登場します。演出家の高梨由さんの遊び心が反映されたシーンでもありますね。セリフの自由度が高い、バーのマスター役なんですよ。
勝俣:全6公演あるので、6人の日替わりゲストがいて、どんなキャラのマスターにするかは、それぞれに決めてもらうんです。今まで稽古をしたなかで、彰人さん(DDT所属のプロレスラー)は「俺演技苦手なんだよね……」と言っていた通り、棒読みでした(笑)。
――それが本番では見違えるほどの演技になっているかもしれませんね(笑)。
勝俣:そうなんですよ(笑)。日替わりゲストのシーンは特に楽しめると思います。7月5日 14:30〜の初回公演と7月7日16:00〜の千秋楽を見比べてもらうのも面白いと思います。
上野:初回は演じることを楽しむ余裕なく、切羽詰まった感じがありそうです(笑)。それがだんだん変わっていくというか。普段の稽古をしていても一回一回重ねる度に、自分たち自身も進化していく感じがあるんですよね。
勝俣:すべての回にアフターイベントも用意しているので、いつ来ていただいても楽しめると思います。リング上とは違う僕たちを観にきていただけたら嬉しいです!
――楽しみです。今日はありがとうございました!
会場は全80席ほどと、それほど大きくはない場所だとか。最前列あたりはプロレス会場でいう、リングに最も近い(特別リングサイド席やリングサイド席)席以上に舞台と近く、リング下あたりにセコンドとして控える選手くらいの距離感。
DNAメンバーたちがかなり近い場所から、普段リングでは見せない表情や言葉で魅せてくれるはずです。青春時代を描いているため、プロレスになじみがない方でも楽しめる作品。フレッシュなイケメンたちが演じる舞台、足を運んでみてはいかがでしょうか。
舞台「櫻農カプリチオ~櫻ヶ丘農業高等学校狂想曲~」
7月5日(木)14:30/19:30
7月6日(金)14:30/19:30
7月7日(土)13:00/16:00
※開場は各公演の30分前。
上野勇希さん
1995年9月1日、大阪生まれ。2016年10月17日デビュー。
勝俣瞬馬さん
1992年12月9日、千葉県生まれ。2014年4月29日デビュー。