懐かしいのに新しい! 『DTC』は新時代の寅さん?
DTCに流れる、昭和な男のDNA! 思い出すのは映画史に残る名シリーズ
『DTC湯けむり』は、流れものの男性が、旅先でマドンナにひと目ぼれするけれど、どうやら片思い。そして、そのマドンナの幸せを実現するためにひと肌脱いて奮闘する、という流れです。
そして、オープニングテーマのタイトルは『FUTEN BOYZ』。この時点で、映画史に残る名シリーズ『男はつらいよ』が頭に浮かびました。
DTCの3人は、けんかっ早くて女好き、うまく生きられないけれど、人情に厚くて義理堅い…。渥美清さんが演じ続けた名キャラクター、フーテンの寅さんのポジションなんですよ。
鑑賞後にブックレットを読み込むと、監督・脚本の平沼紀久さんが、「脚本執筆の段階で『男はつらいよ』を何度も見返している」と語っていらっしゃいました(公式サイトにも掲載されています)。まさしくビンゴ。
マドンナが笛木優子さん、番頭役に駿河太郎さんという手堅い配役も、新時代の『男はつらいよ』感があります。しっかりとした演技力を重視した、素晴らしいキャスティングです。
長寿シリーズ化も?『DTC湯けむり』は長い旅の始まりだ
以前の記事でも触れましたが、「HiGH&LOW」シリーズは、痛快でエネルギーに溢れた昭和時代のエンタメ作に一脈通じています。東映やくざ映画シリーズや、ゴールデン・ハーベストの香港アクション映画、石原軍団大暴れの西部警察あたりは、「HiGH&LOW」のルーツと言えるでしょう。
こうした作品群に共通するのは、昭和のハンパない熱量。「HiGH&LOW」のコアです。そういう意味で、人情ものという方向性で豪速球ストレートを投げ込む『DTC湯けむり』も、紛れもなく「HiGH&LOW」シリーズの一作なんです。
DTCの旅路が「男はつらいよ」をリスペクトした長寿シリーズになる可能性、期待したくなります。DTCそれぞれのキャラクターがしっかりしていて、次の街でどんな珍道中を繰り広げるのか、なんだかワクワクするんですよね。
ファン必見であることはもちろん、初見の皆さんでも楽しめ、さらには長寿シリーズ化も期待できる…。『DTC湯けむり』は、スピンオフという枠を超えた一作です。
最後に少しだけ…。思わず口がポカーンとなる縦笛兄弟のライブは必見!そして、「HiGH&LOW」シリーズ次回作への布石もありますので、シリーズファンはお楽しみに!
そうそう、「HiGH&LOW」ファンなら大好きな、あのヌードルを食べるシーンも楽しいですよ。盛りだくさんの『DTC湯けむり』、是非劇場でご覧ください!
映画『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』
9月28日(金)より3週間限定ロードショー