
株式会社アーシャルデザイン(本社:東京都、代表取締役CEO:小園翔太)は、スポーツの持つ社会的・経済的価値を体系的に研究・発信する機関「Sports Force Lab」と東京大学アメリカンフットボール部ウォリアーズとの共同研究内容の第1回(全6回)を発信します。
当社は「& Sports. More Human.(スポーツを通じて人間の進化を実装する)」をPurposeに掲げ、スポーツの力によって人材・社会・産業の変革を実現することをミッションとしています。
本Labは、このPurposeを具現化する中核機能として、スポーツが人材育成やキャリア形成、さらには地域社会に与える影響を科学的に解明し、その知見を社会実装へとつなげることを目的としています。
■調査から見えた非認知能力の傾向
部活動で人生が変わった、と振り返る人は少なくない。試合に勝った記憶。負けて悔し涙を流した日。仲間と衝突した時間。辞めたいと思いながら、それでも次の日にはグラウンドへ向かっていた感覚。
多くの人にとって、部活動とは単なる競技経験ではなく、自分の価値観や考え方を形づくる時間だ。
では実際に、スポーツは人にどのような影響を与えているのか。
Sports Force Labでは、河合塾グループ株式会社KEIアドバンスのPROGによるアセスメント実施協力のもと、東京大学アメリカンフットボール部ウォリアーズと共同で、スポーツと非認知能力に関する研究を開始した。本研究では、東京大学アメリカンフットボール部ウォリアーズに所属する学生98名を対象に、インタビュー調査と非認知能力アセスメントを実施している。
アセスメントには、全国の大学・高校で広く導入されているジェネリックスキル測定アセスメントPROG(Progress Report on Generic Skills)を活用した。PROGは、主体性・協働力・統率力・感情制御力・課題解決力など、学力試験だけでは測ることのできない非認知能力を可視化できることが特徴で、今回の分析では全国一般学生(※1)・全国運動部学生(※2)との比較も行っている。
なお、本分析は単時点で実施したアセスメント結果およびインタビューに基づくものであり、アメリカンフットボールでの活動がこれらの結果を直接もたらしたと断定するものではない。今回観察された傾向は、現時点の所属メンバーにおける特徴を示す参考的な結果として捉える必要がある。
(※1)全国の大学生全体の平均値
(※2)株式会社KEIアドバンスが一般社団法人大学スポーツ協会とともに実施した全国の体育会運動部の大学生約2,000名を対象とした調査結果(2026/3)を参照。当該約2,000名を対象とした運動部学生の平均値。
■数値が示した今回の特徴
まず、今回の調査で得られた全体像を示す。今回の調査対象となった東京大学アメリカンフットボール部ウォリアーズの学生は、全国一般学生・全国運動部学生との比較において、相対的に高いコンピテンシー傾向を示した。
スコアは1~7点のうちの平均値。全国一般平均はPROG全国データより。
特に、感情制御力(+1.15)・統率力(+0.94)・対自己基礎力(+0.91)で差が見られた点は注目に値する。
ただ、今回の研究で本当に興味深かったのは、能力が高いという結果そのものだけではない。重要なのは、こうした傾向がどのような経験や環境と関係しているのか、という問いである。
■競技ではなく、環境に惹かれていた
今回のインタビューの中で、印象的な場面があった。ある学生は、大学でアメリカンフットボール部に入部した理由を聞かれると、競技そのものへの強い憧れが最初からあったわけではないと答えた。むしろ惹かれていたのは、日本一を本気で目指している組織そのものだったという。何かに本気で打ち込みたい。高い目標を共有する仲間と4年間を過ごしたい。そうした感覚に引き寄せられるように、その環境へ飛び込んでいったのだ。
この話は、研究の核心を考えるうえで示唆的である。
スポーツが人を変えると言うとき、私たちはつい、厳しい練習や勝敗の経験を思い浮かべる。しかし実際には、どのような環境に身を置くかが、人の思考や価値観に大きな影響を与えているのか。
東大アメフト部ウォリアーズは、日本一を本気で掲げる組織だ。毎日の練習、組織運営、分析、戦略、役割責任。誰か一人が頑張るだけでは、チームは成立しない。そしてその環境の中で、多くの学生が自分の限界の捉え方そのものを見直していったように語っていた。
以前は、与えられた環境の中で頑張ることが努力だと思っていた。しかし日本一を目指す組織の中で、その感覚は少しずつ変わっていく。どうすれば、この環境の中で成果を出せるか、ではなく、どうすれば、この環境そのものをより良くできるか。そうした発想の変化が、スポーツ経験の価値を考えるうえで一つの手がかりになるのかもしれない。
■ チームが揺らいだ時、人はどう向き合うのか

今回の研究では、選手だけでなく、マネージャー・学生コーチ・分析担当など、多様な役割を担う学生にもインタビューを行った。
その中で、多くの学生が共通して語っていたのが、苦しかった時期の存在だ。
ある年の夏、チーム運営を支えていたメンバーが相次いで離れ、組織体制が大きく揺らいだ。本来であれば時間をかけて引き継がれるはずの業務を、突然引き受けなければならなくなった。しかも、日々の活動は止まらない。
しかし、その状況の中で多くの学生が自分の役割を超えて動き始めた。経験がなくても、とにかくやる。足りない部分を補う。周囲を巻き込みながら、少しずつ組織を立て直していく。
注目すべきは、その経験を単なる苦労話としてではなく、自分の考え方を見直す契機として語る学生が多かったことだ。
スポーツ組織の中では、常に自分だけでは完結しない状況が発生する。誰かがミスをすれば、チーム全体に影響する。逆に、自分の行動も誰かを支えている。その環境の中で、チームの課題を自分事として捉える感覚が育まれていく可能性がある。それが、非認知能力の傾向と関係しているのではないか。
■自分事化と非認知能力の関係
分析では、チームの課題を自分事として捉えているかという意識と、コンピテンシー総合とのあいだに一定の相関が見られた。自分だけ頑張るのではなく、組織全体の課題を自分の問題として考える姿勢が、非認知能力の形成と関係している可能性がある。さらに、役割ごとに見られる能力傾向にも一定の特徴がうかがえた。
■スポーツの価値は、勝敗の先にあるのか
近年、スポーツの価値は競技力向上だけでは語りきれなくなっている。チームの中で葛藤し、役割を持ち、他者と協働しながら目標へ向かう経験は、人としてどう在るかを問い続ける時間にもなっている。スポーツは、本当に人を変えるのか。もし何らかの影響を与えているのだとしたら、それは勝った経験なのか。それとも、本気で何かに向き合い続けた時間そのものなのか。
今回の研究では、その輪郭を考えるうえでの示唆が少しずつ得られ始めている。
SportsForce Labでは今後も、スポーツが人間形成に与える影響について、定量・定性の両面から研究を続けていく。
■東京大学アメリカンフットボール部ウォリアーズについて

1957年創部。
部員180名(選手130名、スタッフ50名)が在籍する、東京大学内最大規模の学生団体。関東学生アメリカンフットボール連盟1部リーグTOP8に所属し、「未来を切り拓くフットボール」という理念、「挑戦 正義 謙虚」という行動規範を掲げ、学生日本一を目指して活動中。2024年度は同率関東3位(順列5位)、2025年度は単独関東4位と、それぞれ惜しくもプレーオフには届かなかったものの、近年は好戦績を残して関東の中でもトップレベルで私立強豪と対峙している。
チームスローガンは「文武一道」、目標は「日本一」。
■株式会社KEIアドバンスについて

河合塾グループの一員として、大学入試に関する支援を始め、長年にわたり大学と受験生をつなぐ多様な事業を展開。
現在は、大学広報、学生募集、出願・入試運営支援、教学支援、入学前教育、学修・キャリア支援、調査・研究開発、コンサルティングなどへ領域を広げ、大学を中心とした高等教育機関の課題解決を支援。
現場に寄り添いながら蓄積してきた知見やデータを生かし、大学経営と大学教育を多面的に支え、各大学の魅力向上と持続的な発展、学生一人ひとりのより良い学びの実現に貢献している。
■Sports Force Lab 所長 久野晋一郎のコメント

Sports Force Lab 所長|取締役執行役員 久野晋一郎
スポーツは人を変えるのか。この問いに、私たちは感覚ではなく事実で応えたいと考えてきました。
今回、東京大学アメリカンフットボール部ウォリアーズとの共同研究で見えてきたのは、人を育てるのは勝敗や厳しい練習だけではないということです。
どんな環境に身を置き、チームの課題を自分事として引き受けるか。その姿勢こそが、感情制御力や統率力といった非認知能力と深く関わっている可能性が見えてきました。
Sports Force Labは、これまで感覚で語られてきたスポーツの価値を、科学の言葉で社会に翻訳していく挑戦です。
全6回の研究を通じて、その輪郭を示していきます。
【本件に関するお問い合わせ先】
担当者名:久野 晋一郎
電話番号:03-4546-8348
メールアドレス:hisano@a-cial.com
■ 株式会社アーシャルデザインついて

代表者:小園 翔太
所在地:東京都渋谷区神宮前2-4-11 Daiwa神宮前ビル3階
設立:2014年10月
資本金:1億円
会社HP:https://www.a-cial.com/
ATHLETE LIVE:https://athlete-live.com/
YouTube:https://www.youtube.com/@taiikukai_syukatsuTV
代表X:https://twitter.com/sk_acialdesign
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