ところが、峯村さんが育てたポゲットしか扱っていない店が東京・江東区にある。
「ひつじの新町や」だ。
といってもひと頃流行ったジンギスカンではない。
店主の小林さんにジンギスカンを頂戴などと頼もうものなら、塩をまかれる。
この店で供しているのは、峯村さんが育てた羊の焼き肉だ。
毎週、信州から正肉と呼ばれる、骨を抜いた羊肉の半身が届く。
もちろん生肉だ。
小林さんは入荷した肉の状態を確認しなながら、丁寧に掃除し、その日に出す肉を1枚1枚切り分ける。
羊はとてもデリケート。気候や天候などの生育条件により、肉質が微妙に変化する。
しかも個体が小さいこともあり、牛肉のように決まった部位だけを出すことができない。
1人前は約90g(900円)。
左の赤身から徐々に脂が多い部位が盛られている。
これをガス台で焼くのだが、おいしく食べてもらうために小林さんが考えたルールがある。
「肉は、左側の赤身から順番に食べてください。なぜなら、脂が多い部位は味が濃くなるから。さっぱり味の赤身から食べることで、ポゲット特有の深みのある味を味わってください」
しかも肉を網に置く位置にもルールがある。焼き網の中央寄りに肉を置くのだ。
教えられたとおりに肉を焼いていると、すぐに小林さんの指導が入る。
「肉の端っこが白くなったら、ひっくり返して」
教えられるままに、肉を裏返す。
特製ダレもあるが、塩で食べるのがいちばん旨い。
健康も考え、野菜(300円~)も一緒に頼むといいだろう。
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