男性にとっても女性にとっても気になる薄毛。これほど医療が発達しているのに、確実な治療法がないのはどうしてなのでしょう。

それは、「毛根だけを発毛のターゲットとし、髪を作っている“体”という土台をおろそかにしているため」と話すのは、自身も薄毛危機を何度も乗り越えてきたという田路めぐみ医師。

先生によると、薄毛の4大原因は、食事・睡眠・運動・ストレス。

「高価な育毛剤をつけても育毛注射をしても、髪の土台である頭皮に栄養が行き届き、毛を作る細胞が働かないとまったく効果がありません。

細胞やホルモンがしっかり働くようにするためには、毎日の生活の中にヒントがあります。それが食事・睡眠・運動・ストレスの4つなんですよ」(田路先生)。

この食べ物がいい、あの育毛シャンプーを使っているというピンポイントの対策だけでは、残念ながら太刀打ちできない薄毛の問題。育毛は生活改善の上に成り立つ“総合力”が、何より大事なのです。

今回は、この4つのターゲットについて、田路先生の著書『東大医師が教える最強の育毛革命』から、対策法をお伝えしていきます。

髪のための生活習慣・4つのターゲット

【ターゲット1 食事】

栄養が不足していると最初に影響が出るのが、髪や爪といった“命に関わらない”パーツです。

「髪に必要だけれども不足しがちな栄養は、主にタンパク質、ビタミンC、B群、ミネラル群(特に亜鉛)です。女性では、これに加えて鉄不足が多いのですが、男性ではあまり気にしなくてよいでしょう。
糖質過多や加工食品が多い、など偏った食生活だと、これらの栄養素が不足し、 髪の成長を妨げ、薄毛になっていくのです。
特に男性はラーメンやカツ丼など高糖質・高脂質でボリュームのある食事が好きな人が多く、同じものを繰り返し食べて栄養が偏ったり、ビタミンやミネラルを含む野菜や海産物、種子類などが不足する傾向にあります。

出典(『東大医師が教える最強の育毛革命』)

カロリーが満たされていても、栄養に偏りがあると髪の毛を生やす力が弱ってしまいます。

髪に必要な栄養素をしっかり摂りながら、なおかつ糖質を抑えた食生活を送ると、細胞が元気になり、体も髪も健やかになっていきます。

【ターゲット2 睡眠】

睡眠は体を休め、修復してくれる貴重な時間ですが、睡眠中に分泌される成長ホルモンも健やかな髪には欠かせない役割を持っています。

「成長ホルモンは“ヒーリングホルモン”とも呼ばれ、身長を伸ばす、筋肉を作るなど組織の成長と修復を促してくれるので、髪にももちろんいい影響を与えてくれます。成長ホルモンがしっかり分泌されれば、髪が太く長くなるよう、サポートしてくれるのです。
成長ホルモンは年齢とともに分泌が少なくなってきます。大人が成長ホルモンをしっかり分泌させるためには、3時間以上続く深い睡眠を確保することが大事です」。

出典(『東大医師が教える最強の育毛革命』)

成長ホルモンは寝始めてすぐの睡眠サイクルにおいて最も多く分泌されるため、スムーズに睡眠に入れるといいのですが、寝る直前までスマホやゲームをしていると、睡眠を促すメラトニンが放出されにくくなり、結果的に成長ホルモンの分泌にも影響してしまいます。

健やかな髪の成長のためにもぐっすり眠れる環境を整え、よい睡眠をしっかりとりましょう。