【ターゲット3 運動】
「男性ホルモンが多い人は薄毛になりやすい」という俗説を聞いたことがあるかもしれません。ですが、男性ホルモンは加齢に従い減少していくので、健康のためには増やした方がいいそう。
「この男性ホルモンのテストステロンは骨や筋肉を作り、活力、エネルギーを生み出してくれるので、男性にとっては非常に大切なホルモンです。
確かにいわゆるAGA(男性型脱毛症)は一部のテストステロンが引き起こし、髪の成長抑制に関わってはいるのですが、運動することで、テストステロンと同時に成長ホルモンも放出されるのです」。出典(『東大医師が教える最強の育毛革命』)
つまり、運動をすればテストステロンと成長ホルモンが同時に放出されるので、髪への作用はプラスマイナスされます。
そして、結果的にはどちらが優位かというと、成長ホルモンのほうがよりパワフルであるため、総じて運動は薄毛対策にもなるのです。
「運動は、週2〜3回、中等度以上のスポーツ、もしくは筋トレ+有酸素運動+準備運動を合わせて1時間くらいやるのが理想ですが、運動が苦手な人や忙しくて時間がない人はストレッチだけでもいいので、まずは体をほぐしながら動かすことからやってみましょう。
逆に運動しないと、髪に不利な一部のテストステロンの働きだけが強く作用してしまい、薄毛が進行、AGAになる可能性が生まれるわけです」。出典(『東大医師が教える最強の育毛革命』)
ただしきつすぎる運動は髪に良いとは言えません。
適度な運動こそが成長ホルモンとテストステロンのいいバランスをもたらしてくれます。
【ターゲット4 ストレス】
4つのターゲットの中で一番難しいのがストレス対策なのではないでしょうか。現代人はどんな人でもストレスを抱えています。忙しく働く人ならなおさらです。
「過度なストレスを与えられると細胞や遺伝子を傷つける活性酸素が発生します。活性酸素とは、要は“体のサビ”。
活性酸素が発生し細胞膜の機能が低下すると、栄養や老廃物の循環がスムーズにいかなくなり、頭皮の健康が損なわれてしまいます。
さらに遺伝子が傷つけられると、毛を作り出す細胞が死んでしまうことに。こうなると、もう髪は元気を取り戻すことができません」。出典(『東大医師が教える最強の育毛革命』)
また、ストレスを溜め込むと、不眠や過食といった負の連鎖を引き起こします。
日頃ストレスを感じ続けている人は、上手に発散することを意識すると、髪にも良い変化が出てくるはずです。
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この4つのターゲットはどれか一つを頑張ればいいというものではなく、すべてを偏りなくケアして、全体的に底上げをしていくのがポイントです。
体調面での変化は2週間ほどで感じられますが、髪は月に1cmほどの速さで伸びるため、効果が実感できるまでには少なくとも3カ月くらいかかります。
このように生活習慣と髪は密接な関係があります。すぐに効果が出る特効薬がない薄毛は、このような生活改善が、長い目で見れば、遠いようで一番近い、効果的な対策なのだといえます。
「あなたのがんばりに、髪は必ず応えてくれます。それまでは地道にコツコツやり続けることです」と田路先生。
まずは自分の4つのターゲットから弱点となるものを重点的に取り組んでみて、一つ一つ攻略して生活全体の質を高めていくのがいいでしょう。
【参考書籍 著者】田路めぐみ(たじ・めぐみ)
神奈川県出身。平成9年、東京大学医学部医学科卒業。
日本形成外科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本頭蓋顎顔面外科学会会員、日本外科学会会員。
虎の門病院外科レジデント修了後、東京大学形成外科医局に入局。
帝京大学、東京大学、国立国際医療センターにて形成外科の研鑽を積み、焼津市立総合病院、国保旭中央病院にて形成外科科長を務める。
その後国立がんセンター東病院頭頸科、せんぽ東京高輪病院(現JCHO東京高輪病院)形成外科を経て、2014年より、松倉クリニックに勤務。
美容のみならず形成外科・再建外科医としても活躍し、その幅広い臨床経験から、患者さんの状態やニーズに合わせて柔軟に治療法を選ぶ総合的な診療を得意とする。
自らの薄毛経験も活かし、身体全体とストレスまで考慮した総合育毛治療がクリニックでも人気を呼んでいる。