西田隆維の予想:「開き直り」ができるかどうかが重要。

西田:出雲・全日本・箱根の3冠、そして箱根駅伝3連覇のかかっている青山学院大学がやはり本命でしょうね。

期待値が高いのは出雲駅伝、全日本大学駅伝で安定した成績を残した中央学院と、往路で勢いに乗ったら東海大も面白い存在になると思う。

青学を倒すためには…大会前に青山学院大学内で風邪が流行るかどうか(笑)。風邪といっても、発熱とかの風邪より、お腹の風邪。お腹(内臓)をやられちゃうのは深刻な問題。

栄養素が入ってこなくなり、エネルギーがない状態でレースに臨まなきゃいけないというのは、ブレーキを起こす相当リスクが高い。

箱根駅伝は200人の選手が走るから、ちょっと熱っぽかったり、鼻水が出たり、喉が痛かったりって風邪気味の選手も当然いますよ。でも、そのくらいならなんとか大丈夫かなと思うけど、お腹の風邪はどうしようもない。

M:お腹の風邪とかじゃなくても、レースの3週間前とかから緊張で食欲がなくなって、食べられなくなってしまうこともあります。

しっかり寝られる、しっかり食べられるっていう状態が、チーム全体で万全にできているかどうかというのは勝負に影響を与えるでしょうね。

西田:この緊張って避けられないから、これを乗り越えるには、信じるものがあるかないかってことかもしれない。開き直れる能力や方法があるかないか。

M:図太さとかですかね。

西田:そう。例えば海外留学生選手って失敗が少ないですよね。それって、自分の信じるものがあるかどうかってことが背景にあるのかなと思うことがあります。日本だと仏教でいう仏さまとかそういうものかな。

留学生選手っていつもお祈りしているから大丈夫ってことで自分を安心させる方法がある。

やることは全てやって、「最後は神頼み」ということでは一緒なんだけど、留学生の出身国に比べて、最近の日本人って、そういうものが薄れてきているので、いざ不安になったときに、自分をどう安心させるかという方法がないかもしれない。

練習は嘘をつかないっていう安心させる方法もあるけど、それって練習が上手くいっていればいいけど、上手くいってなかったときにどうするか。

開き直る方法、自分を安心させる方法として「信じるものがあるかないか」って関係あるかもしれない。でも、ないかもしれない(笑)

4区・5区の距離変更によってどんな影響があるのか

■久し振りの往路逆転劇に期待

西田:4区は単に2.4km距離が伸びただけでなく、長くなった2.4kmが後半の上り坂ってところがポイント。最後に2.4kmが上り坂ってことで、ここで大きなタイム差が出る可能性もある。今回からは4区に上りの適正のある選手を配置することも必要になると思う。

じゃあ、5区の区間が2.4km短くなって楽になったかというとそうではなく、最初のダラダラの上りがなくなっただけで、5区の選手は昨年より最初の入りが難しくなったかなと思う。

M:短くなったとはいえ、5区はタイム差がつきやすいですよね。

西田:だから、今回も山のスペシャリストが誕生したら、優勝を決定づけるかもね。

M:神野選手(2016年大会の青山学院大学5区)も卒業して、今回の5区においては各校の戦力差は小さくなっていると思います。それにより、もつれることも予想されるので、往路だけじゃなく復路にも戦力を置きたい。

選手配置の難しさは例年より増したとかもれしれませんね。そう考えると、ここ10年くらい山で決着が着いてしまって、復路での逆転劇がなくなりましたけど、今回からは復路での逆転劇の可能性が出てきたかもしれません。

西田:とはいえ、逆転劇を起こすには、先行する大学がどこか、その大学がどんな選手を復路に配置しているかで、追う側のモチベーションは変わるね。選手層の厚い青学が今回も先行していたら、追う大学は結構きついかもね。

M:前を行くチームが往路に選手をつぎ込んでいるって分かっていれば、復路で逆転できるぞってモチベーションが上がります。とはいえ、3分差(距離にすると1km差)とかあったら9区、10区まで追い付けない。

駅伝って一人でひっくり返そうとしたら、自分の実力以上のものを出そうって気持ちになります。その気持ちが強すぎると、頑張れる選手もいるけど、それがプレッシャーになってオーバーペースになりすぎたりして、力を出し切れないこともありますから、自分の走りをするっていう平常心を持つことが大切になると思います。