交感神経が優位になり、心臓の鼓動が速くなり、血圧が上昇、筋肉での血流が増え、血中にストレスホルモンが作られ……といった反応が起こるのですが、これとまったく逆の反応を引き出すのがオキシトシン。
脳内にオキシトシンが分泌されると、リラックスして心拍数が低下、血圧が下がり、ストレスホルモンが減少、皮膚や粘膜の血液循環がよくなる……といった、ストレス反応とは正反対の反応が体に起きます。
興味深いのは、オキシトシンの働きがどれも「人間の成長を助ける」という方向性を持っていること。以下に一例を挙げますが、体の成長や学習面、心の安定、社会性を育むなど、子どもにとっても親にとっても、非常に好ましい作用を与えてくれるようです。
<オキシトシンの働き>
- 親子間の絆を深める
- ストレスや痛みを軽減
- 不安が減り、好奇心が増す
- 消化・吸収を促進
- 成長ホルモンの分泌を促す
- 学習効率が高まる(短期的な記憶力、集中力アップなど)
オキシトシンの分泌を増やすには、抱っこやマッサージなどのスキンシップが最も有効。抱っこをする側とされる側、どちらか一方ではなく、両者の脳に分泌されるというところがポイントです。
かわいいから抱っこをするのではなく、スキンシップをすることでいとおしさが増し、互いに愛情を深めることができるといいます。
そのほか、おいしいものを食べたり、お風呂に入ったり、仲間と楽しく過ごしたりといった、リラックスした穏やかな時間を持つことでも分泌されるそうですよ。
抱っこが苦手な場合は「遊び」要素を。思春期も軽い感じでスキンシップして
抱っこが苦手なお子さんもいるかもしれませんね。そんなときは、背中を一定のリズムでトントンたたく「タッピング」や、「くすぐり遊び」などの遊び要素を取り入れるとよいそうです。
母親とのスキンシップは子どもの情緒を安定させ、父親とのスキンシップは社会性を高めるとのことなので、ぜひお父さんも一緒に遊んでもらいましょう。
さて、乳幼児期には子どもと触れ合う機会が多かったものの、大きくなるにつれて機会が減った、というご家庭も多いのではないでしょうか。
実際、日本では思春期になると、親子のスキンシップが一気に減ってしまう傾向があります。けれども、スキンシップは思春期はもとより、乳幼児期から老年期まで、生涯を通して心や体の健康にメリットをもたらしてくれます。
スキンシップの方法は、肩や背中をポンとたたく、握手やハイタッチなど、ちょっとしたことでOK。
ちなみに、男の子はオキシトシンが出にくい傾向があり、たくさんスキンシップをしないとオキシトシンの分泌が増えないとか。
小学生の子どもにベタベタ、抱っこ抱っこ……と甘えてこられると、お母さん側は少しイラっとする場面もあるかもしれませんが、甘えたいときは気の済むまで甘えさせてあげたほうが、子どもの自立のためにはよいそうですよ。