意外にできちゃう復職後の母乳育児!続けるメリットもいっぱい!
光畑:インタビューの第2回(記事『ママを追いつめる“母乳プレッシャー”、知って欲しい母乳の本当のメリット』)でもお話ししましたが、生後6~7カ月を過ぎたあたりから、子どもが母乳を必要な時に必要な量だけ生産できる“都合のいいおっぱい”が出来上がってきます。
コレが優れモノで、子どもと離れて仕事をしている時には何の反応もみせませんが、例えば赤ちゃんの泣き声を聞いたり、顔を見たり、子どもが乳首を口にくわえたりすると、自動的に胸がキュッと張って、母乳が作られるようになるんですね。
それでもトラブルらしい例を敢えて挙げるなら、ママがひとりで通勤電車に乗っていたところ、たまたま同じ車両に乗っていた別の赤ちゃんが泣き出して、おっぱいが張ってビックリしました、なんて話は聞いたことがあります(笑)。でもパッドが要るほどではなかった、というより乳房がほんの少し張っただけで、母乳が出てしまうことはなかったそうですよ。
もし不安があるようであれば、病院の母乳外来や母乳育児に強い助産師さんなどに育休中から相談をして、産後のおっぱいケアと並行しながら、復職の時には“都合のいいおっぱい”にたどり着けるようアドバイスをしてもらうのもいいかもしれません。
そうすれば仕事中は仕事に集中して、子どもと一緒の時にはこれまで通りおっぱいをあげる生活に、すんなりと移行できるのではないでしょうか。
――復職=母乳育児をあきらめる、ではないんですね。では最後に復職を前に、不安を抱えているママたちにメッセージをお願いできますでしょうか。
光畑:ママが子どもを預けて働くことに、罪の意識を持つ必要はありません。
そしてもし、いま母乳育児をしているママなら、また復職の予定があるがゆえに母乳育児を躊躇しているプレママなら、保育園入園後におっぱいを続ける道もあることを知ってほしい。そしてそれが却って子どもとママのためになることもある、ということを知ってほしいなぁ。
オマケにもうひとつ耳寄り情報として、おっぱいが復職の“バックアップツール”になる理由を付け加えさせていただければ、ワーキングママにとって恐怖ともいうべき、保育園からの“呼び出し”を減らす手段にもなり得る、ということもあります。
子どもの体調管理は、毎日の手洗い・うがいや規則正しい生活、お食事、運動、睡眠、等々に依るところが大きいワケですが、母乳を続けているとメンタルが安定しやすいこと、またママの免疫の助けによって、急な体調不良が減るともいわれているんですね。
それぞれのお子さんの身体の状況もさまざまですし、母乳を続けたからといって「呼び出しがゼロになります!」とは残念ながら言えませんが、その可能性を減らす手立てがあるのであれば使わない手はないんじゃないかな、と(笑)。そして結果として急な体調不良が減れば、子どもにとっても、ママにとってもパパにとっても、さらには保育園にとっても、歓迎すべきことなのではないでしょうか。
WHO(世界保健機関)が2歳以降までの授乳を推奨していることもあって、母乳育児をしているママによっては「自分の復職のせいで2歳前におっぱいをやめなければならず、子どもに申し訳ない」と感じてしまうこともあるようですが。
そんなこんなで、母乳育児、続けられますよー。むしろ、積極的に続けてください!
ママが一生懸命働く姿をぜひ、子どもに見せてあげてください。そして短い時間のなかでとびきりのスキンシップをして、ギュッと抱き締めてあげてください。
働くママの先輩として、皆さんを応援しています。また同じ現役ワーキングママとして、一緒に頑張ってゆきましょう!
全6回のインタビューを振り返って
これまで6回にわたり「ママを追い詰める母乳プレッシャー」から「子連れママの権利と公共マナー」、はたまた「子どもが幸せになるラクする子育て法」から「イクメンブームへの疑問」に至るまで、インタビューをご覧いただきありがとうございました。
授乳服を着た授乳シーンに、あらゆる角度から迫っていただいた動画(授乳服・ケープどっち? “赤ちゃんを泣かせない”コツ)もありましたね!
これからも「子連れスタイル推進協会」として、また「快適母乳生活研究所」として、ママやパパにとって育児がよりラクに、そして家族がより笑顔になるような活動を、どんどん拡げてゆきたいと思っています。またどこかでお会いしましょう!
■光畑 由佳(みつはた ゆか)氏 プロフィール
子連れスタイルで子育てと社会を結びつけ、多様な生き方や育て方、働き方を提案するNPO法人「子連れスタイル推進協会」代表理事&授乳服メーカー「モーハウス」代表。三児の母。内閣府「暮らしの質」向上委員会委員、経済産業省「中小企業経営審議会」臨時委員、茨城県ユニセフ協会評議員、茨城大学社会連携センター特命教授。趣味はお産・おっぱい・建築とのこと。