「授乳美人」シリーズより(画:武蔵野つきこ)

――でも「授乳服」は授乳期しか着られないと思うと、ぜいたくな気がして、なかなか手が出ないママも少なくないのでは?

竹中:そうなんです。安い量産品の授乳服にそこまでフィットするデザインは少ないので、「子どもの物ならともかく、自分の物にそんなにお金かけられないわ」と我慢して買わなかったり、安いものを選んで結局使えなかったりしてしまうママが多いのです。

でも授乳期間がつらく感じられるか楽しく感じられるかはココにかかってくるので、ぜひ「女王様」にふさわしい衣装を選んでほしいですね(笑)。

「授乳美人」シリーズより(画:武蔵野つきこ)

竹中:「授乳服のコスパってどうなの?」、「自分が楽をするためにお金を使うのは気が引ける」と感じてしまう、しっかり者や頑張り屋さんのママには、ぜひパパや周りの方たちが「キチンと作られた授乳服」をプレゼントしてあげてほしいな~。

いい授乳服は、例えば舅が正面にいても乳首がチラッとも見えないんだから、乳房トラブル防止だけではなく最強のストレス回避グッズになります。

――舅が正面にいても大丈夫!それはたしかに最強かも(笑)。

『おっぱいとだっこ』(PHP電子)より。イラストも竹中恭子さん

竹中:この頃はマタニティーから着られて、卒乳後も長く愛用できるものもありますし。

例えば東京の青山通り沿いにある授乳服ブランド「モーハウス」では、私も個展をさせていただいたことがあるのですが、授乳服とは気づかずにデザインに惹かれて来店される方もいらっしゃるくらい授乳口が目立ちません。普通の洋服にしか見えないですよ。

――では今日のインタビューの最後に、ママやパパへメッセージをお願いできますか。

竹中:ママたちは「母乳トラブル」を防ぐためにも、どうぞ「女王様授乳」を試してみてください。

母乳は“白い血液”なんていわれることもあるくらいですから、肩がこれば血流が悪くなって、出づらくなるのは当たり前。一生懸命になるあまりのことなのですが、真面目なママほどぜひ「女王様」になってみてくださいね。

ママと赤ちゃんの授乳生活を支えるパパや周りの方たちも「おっぱいが出ないのは食べているモノが悪いからなんじゃないの?」なんて古い“常識”でママを責めたりせず、ポジショニングに気を付けてあげてみてください。

そしてその授乳時間がリラックスできるものとなるように、授乳以外の家事・育児をしたり授乳服をプレゼントしたり等々、最大限のサポートをしてあげてくださいね。

【取材協力】竹中 恭子氏

母乳110番】代表・電話相談員。イラストレイター・ライター。1男1女の母。
おっぱいとだっこ』『おっぱいとごはん』『家族のためのおっぱいとだっこ』の母乳育児3部作ほか、著書・共著多数。『おっぱいとだっこ』は第9回ライターズネットワーク大賞受賞、近年は水彩画家「武蔵野つきこ」として『授乳美人』作品シリーズも発表。公式ブログも。

15の春から中国とのお付き合いが始まり、四半世紀を経た不惑+。かの国について文章を書いたり絵を描いたり、翻訳をしたり。ウレぴあ総研では宮澤佐江ちゃんの連載「ミラチャイ」開始時に取材構成を担当。産育休の後、インバウンド、とりわけメディカルツーリズムに携わる一方で育児ネタも発信。小学生+双子(保育園児)の母。