オリジナルメンバーと作ること・サポートメンバーと作ることの違い

ーーそれまでの銀杏BOYZは特に楽曲作りに関して、いつも苦戦しているようなイメージを持っていました。前作よりも良いものを目指すわけだから、そうなってしまうのは当然ですけど、今回は峯田さん1人になった作品です。やりやすかった点、あるいはやりにくかった点はありますか?

峯田 両方あったかな。ただね、楽曲作り、録音する時間ってことで言うとチンくん、アビちゃん、村井くんでやってた頃のほうが早かったよ。オリジナルメンバーとやっていたときなんて、曲によっては30分で出来ちゃうのもあったしね(笑)。

何故かと言うとさ、チンくん、アビちゃん、村井くんとはライブやレコーディングだけじゃなくて、日常から全て行動を共にしていて関係も濃厚だったでしょ。メンバーそれぞれ好きな音楽、映画、漫画とかもみんなで共有してたわけ。そういう関係だから「この曲は、あのバンドの○○○って曲みたいにしたいなぁ」とか言えばさ、例えばチンくんが「あぁ、あのアルバムに入ってるやつだ!」みたいにすぐ話が伝わる。これはすごく楽だった。

でも、そういうメンバーが抜けてっちゃって、世代も違うし、聴いてきた音楽も違うというサポートメンバーと一緒にやったのが今回のアルバム。そうなるとさ、曲を作る際に話をしても共通言語みたいなものがないから、なかなか伝わらないわけよ。「あのバンドの○○○って曲みたいに」みたいなことを言ってもポカンとしちゃう。そういう伝え方じゃなくて、もっと具体的に「こういう音で、こういうアレンジで、弾いて欲しい」みたいに言わないと伝わらないんです。

だから、レコーディングや楽曲作りで言うと、オリジナルメンバーとやっていたときよりも今回のほうが時間がかかったのは確か。でもさ、サポートメンバーに、なんとかして僕が描いてる音のイメージが伝わったときは、想像してなかったような音になる面白さもあるわけ。「バックボーンが違う人の音が加わることで、もっと面白くなった」みたいな新しい発見がいっぱいあったのも今回のアルバムだったな。

Photo:小境勝巳

ーーそのことで、アルバム全体のイメージが変わったり、峯田さんのアルバムへかける心境に変化を及ぼしたことはありましたか?

峯田 それはない。「心境が変わっていく」みたいなことはないね。ただ「良いアルバムを作りたい」っていうだけだね。

もちろんさ、楽曲の細部とか、アレンジとかはサポートメンバーと音を合わせて、どんどん変わっていくことはあるよ。まず僕がスタジオまで、曲の骨組みとか構成とかを持っていくんだけど、サポートメンバーと音を合わせてみてさ、その場その場で「やっぱりこうしたほうが面白いかな」みたいなアイディアが浮かんだりしてね。

楽曲作りはその都度詰めていって、どんどん面白くなるように変えていったし、アルバムが持つ雰囲気みたいなものも結果的に変わってるとは思うけどさ、もともと僕が考えている「こういう音楽にしたい」「こういうアルバムがいい」っていう思いはずっと変わってないね。ここだけはファーストの2枚からずっと変わってないかも(笑)。

銀杏BOYZの音楽を聴いてくれた人が盛り上がってくれて、自分のモノにしてくれて、何か銀杏BOYZとリンクするものが生まれたらいいなっていう。だから、特別なバンドへの取り組み方が変わったっていうこともないね。

※次回へつづく

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リリース情報

銀杏BOYZ ニュー・アルバム『ねえみんな大好きだよ』

【初回盤】
【通常盤】

10月21日(水)発売
品番:SKOOL-049 価格:3,300円+税

収録曲(全11曲)
01.DO YOU LIKE ME
02.SKOOL PILL
03.大人全滅
04.アーメン・ザーメン・メリーチェイン
05.骨
06.エンジェルベイビー
07.恋は永遠 feat.YUKI
08.いちごの唄 long long cake mix
09.生きたい
10.GOD SAVE THE わーるど
11.アレックス

音楽事務所、出版社勤務などを経て2001年よりフリーランス。2003年に編集プロダクション・デコ有限会社を設立。 出版物(雑誌・書籍)、WEBメディアなど多くの媒体の編集・執筆にたずさわる。エンタテインメント、カルチャー、 乗り物、飲食、料理、企業・商品の変遷、台湾などに詳しい。台湾に関する著書に『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)、 『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『台湾迷路案内』(オークラ出版)などがある。