ただそうしたデメリットは、おっぱいをやめてからでないと分からないので、ほとんどのママは「授乳がなくなればその分、楽になる」と信じて断乳を急いでしまう。

例えば乳房トラブルで大変な思いをしていた人は断乳後、そこは楽になるわけですから、すべてとは言いません。でも多くの場合、復職のタイミングで「断乳」をすると、むしろ「大変になってしまう」ケースがあまりにも多いんです。

いまは初産の高齢化による次の子問題もありますし、「復職の機会に一気に断乳を」という場合もあるでしょう。「自然卒乳するまではあげたい」と思っていても、年中おっぱいを要求される毎日に心身ともに疲れ果てて「もう限界!やめるしかない」と思い詰める人もいます。

もちろん、やめていいですし、やめることのメリットがデメリットを上回るケースもあります。

ただ集団に入るにあたって、感染症などいろいろな病気をもらってくる可能性が高まるので「免疫の面でも、細々とでも母乳を続けた方が働きやすい」という事実もあります。

というわけでママが本当に「これを機にやめたい」と思っているのであれば止めないけれど、もしできるのであれば、復職して、ママも赤ちゃんも新しい生活に慣れて、3カ月・6カ月してから、あらためて考えた方が“楽”かもしれませんよ、と。率直なアドバイスをするようにしています。

ママが納得して決めることが一番なのでどちらを選んでも正解ではありますが・・・。

どのタイミングにしろ「断乳しか方法がない」のではなく、「母乳を続けることもできる」それも含めて検討してほしい。そう思っています。

――とはいえ、ママと赤ちゃんが一日ずっと一緒にはいられなくなります。「働きながら母乳育児」なんて、本当にできるんでしょうか?

竹中:できますよ(笑)。では次回は「働きながら母乳育児」の成功のポイントについてもお話しましょう。併せて参考にしてみてくださいね。

【取材協力】竹中 恭子氏

母乳110番】代表・電話相談員。イラストレイター・ライター。1男1女の母。
おっぱいとだっこ』ほか、著書・共著多数。『おっぱいとだっこ』は第9回ライターズネットワーク大賞受賞、近年は水彩画家「武蔵野つきこ」として『授乳美人』作品シリーズも発表。公式ブログも。

15の春から中国とのお付き合いが始まり、四半世紀を経た不惑+。かの国について文章を書いたり絵を描いたり、翻訳をしたり。ウレぴあ総研では宮澤佐江ちゃんの連載「ミラチャイ」開始時に取材構成を担当。産育休の後、インバウンド、とりわけメディカルツーリズムに携わる一方で育児ネタも発信。小学生+双子(保育園児)の母。