『もうひとつの江戸絵画 大津絵』
東京ステーションギャラリーで現在開催中の展覧会、「もうひとつの江戸絵画 大津絵」(11月8日まで)。
大津絵とは、江戸時代初期より、東海道の宿場である滋賀県・大津周辺で量産されたお土産用の絵のこと。
わりやすく面白みのある絵柄を、合羽刷りという型抜き版画で描き、庶民の間で気軽なお守りとして人気を博して大量に販売されたが、江戸時代の終焉とともに徐々に衰退し、姿を消してしまったという。
《藤娘》笠間日動美術館蔵
「鬼の念仏」「猫とネズミ」「藤娘」など定番モチーフに描かれた鬼や人、動物たちの姿は、なんともユーモラスで愛嬌がある。
そんな大津絵の独特の魅力にハマったのが、富岡鉄斎や梅原龍三郎、柳宗悦ら、明治期以降のそうそうたる画家や文化人、実業家たち。彼らはその収集にのめりこみ、大金を投じて入札合戦を繰り広げたそう。
昭和戦後期には、多くの名品が失われたり、著名なコレクターが亡くなったりしたことでコレクションの大半は散逸。
一部は海外へと渡り、欧米の博物館に所蔵されたり、パブロ・ピカソら芸術家も大津絵を愛好し所有したという。
ピカソもこれと同じモチーフを所蔵したという。《猫とネズミ》笠間日動美術館蔵
関連記事