春風亭一之輔 キッチンミノル提供

ちなみに、現在の持ちネタはいくつかというと。

「今回、3席ネタ卸をしたら、218席になるはずです。多いほうだと思います。でも、ネタは数じゃない。鮮度です。

先代の(三遊亭)圓歌師匠なんて、ネタはひとつきりで常に爆笑でしたから。

ぼくは、あと何十かはネタ卸をやって、50歳を過ぎてからふるいにかけていくと思う。

今までやらなかった噺って、自分に向いていないと思い込んでいた噺とか、直感的に避けていた噺なんですが、実際にやってみると、意外と自分にハマるんだなっていうのも、ここ何年かこの会をやっていて気づいたこと。今年もそういうきっかけになればいいですね」

落語は配信に向いている

最後に、コロナ禍にあって積極的に挑戦してきた落語のオンライン配信について、訊いてみた。

「この間、(三遊亭)金翁師匠と一緒に配信をやりました。91歳で配信に出られて、おととい楽屋で、金翁師匠がパソコンを買おう、って言ってました。

(柳亭)市馬師匠とか(鈴々舎)馬風師匠に向かって、パソコンってどうすりゃいいんだ、って (笑)。

いやあ俺たちに訊かれても、って、兄さん方は答えていましたけど。いい話でしょ。買い占め騒動やら自粛警察やら何やら、コロナで日本中の内輪もめみたいなのがあるじゃないですか。

落語は、まあ落ち着こうや、みたいな噺が多いですから。癒しというか、ヒーリング効果というか、落語って足湯みたいなものだと思います。

温泉は、仕度して、お金貯めて、年に1回とか、そういう計画性が要るけど、足湯なら、ふらっと行って、靴下脱いで、ちゃぽんって足を入れて、出たいときには出ちゃえばいい。寄席というところはそういうところ。だから、しぶとく生き残っていく芸能なのかなと思います」

「落語って、配信に向いているなと思います。画面にひとりが映っていて、しゃべる、それだけ。

例えば芝居の配信に比べて、聴いている人がはるかに集中できる。音だけでも充分楽しめますし。

それから、そこそこ社会が元のスタイルに戻りつつあるときに、生のライブも復活の速度が早い。楽屋も密にはならないし、ひとりしか高座に上がらない。ラッキーな芸能のかたちだと思います」

この「2020落語一之輔 三昼夜」はライブと配信のハイブリッド公演だが、ライブのほうのチケット(一次販売)は早々に完売。

となれば、“パソコンでも楽しめる足湯”でゆっくり癒されるとしようか。アーカイブ配信もあるので、安心して楽しみたい。

2020落語一之輔 三昼夜」配信視聴券情報
各公演2000円(税込)/各日昼夜セット券3600円(税込)
※別途プレイガイドのシステム利用料がかかります
アーカイブ:配信から各2週間
形式:生配信(vimeoにて配信)