続いて披露されたのは“男は行く”。椅子に座ってギターをかき鳴らし、叫ぶ宮本。ぐいぐいと最後まで押し倒すような迫力の演奏。阿吽の呼吸で鳴らされるアンサンブル。ブルージーなのにホットな、渾身のパフォーマンス。ここに来てますます絶好調の宮本の歌が、ビンビンに響く。「“男は行く”でした。シングルでした、ヒットしなかったけど」と言って笑うと、“ファイティングマン“へ。客席の隅々まで指指しながら拳を握り、宮本がステージを闊歩する。怒涛の勢いで展開する終盤戦。ラストをビシッと決めると客席を向いて両手を広げる宮本。さらに“星の降るような夜”の力強さと優しさの同居するようなメロディを届けると、石森も舞台のヘリぎりぎりまで進み出てギターを鳴らす。サングラスを外した石森の肩を抱き寄せて宮本が歌う様子に、客席も盛り上がった。

「みんな今日はありがとう。思ったより長くなっちゃったけど。みんないい顔してるぜ、たぶん。マスクしてるからわかんないけど(笑)」。そう言って客席に手を振り、「みんなに捧げます」とラストチューン“風に吹かれて”。重厚なギターサウンドが野音に鳴り響く。ストイックな青い光の中、僕たちを何度も奮い立たせてきた歌が今また希望の色をまとって届いてくる。「生きていこう、明日もよ」。もう一度客席に手を振って歌い終えた宮本が、ギターを置いて頭を下げる。最後はソーシャルディスタンスと言いながらメンバー、サポートメンバーのひとりひとりとハグを交わし、手をつないで一礼。久しぶりにライブをした喜びと、30周年でまたしても充実期を迎えているバンドの今が伝わってきた。

それでもライブは終わらない。宮本が黒いシャツに着替えて登場したアンコールでは、ぐっとコブシをきかせて“待つ男”をぶっ放す。真っ赤なライトのなか最後まで叫び、歌い続けた宮本。エネルギーの塊のようなパフォーマンスの余韻は、ライブが終わったあとも耳の中に反響していた。

 

-セットリスト-

一部
1.「序曲」夢のちまた
2. DEAD OR ALIVE
3. Easy Go
4. 地元のダンナ
5. デーデ
6. 星の砂
7. 何も無き一夜
8. 無事なる男
9. 珍奇男
10. 晩秋の一夜
11. 月の夜
12. 武蔵野
13. パワー・イン・ザ・ワールド
14. 悲しみの果て
15. RAINBOW
16. ガストロンジャー
17. ズレてる方がいい
18. 俺たちの明日

二部
19. ハナウタ~遠い昔からの物語~
20. 今宵の月のように
21. 友達がいるのさ
22. かけだす男
23. so many people
24. 男は行く
25. ファイティングマン
26. 星の降るような夜に
27. 風に吹かれて

28. 待つ男

 

公演情報
エレファントカシマシ「日比谷野外大音楽堂 2020」

アーカイブ配信中!

アーカイブ視聴可能期間:
2020年10月7日(水)23:59まで

配信チケット販売期間:
9月12日(土)12:00〜10月7日(水)18:00

※詳しくはエレファントカシマシ 公式HPをご覧ください。