新は僕とは似ているようで、似てない部分も多い

撮影:山口真由子

――新はどんな人だと思っていましたか?

すごく真っ直ぐで素直な青年だなと思いました。僕とは似ているようで、似てない部分も多くて。僕は結構、奥手なところがあるんですけど(苦笑)、新は自分の伝えたいことはちゃんと言葉にするし、行動もするので、憧れる要素がたくさんありました。

――瀬名監督からは新のキャラクターについて説明はありましたか?

澪の幼馴染として真っ直ぐに愛おしいという気持ちを持っている、ということと、その新の素直さや、真っ直ぐさに、僕自身が持っているものを上手く使ってほしい、と。僕自身を吹き込ませてほしい、と言っていただきました。

――瀬名監督から新役に瀬戸さんを起用した理由は聞きましたか?

もともと瀬名監督の中に何人か新役の候補がいらっしゃったようなんですけど、その中の一人目として僕と食事をする機会を作ってくださって。そのときは本当に他愛のない世間話をしたんですけど、その食事会の最中に「君と一緒にやりたい」と言ってくださいました。

それで後日、なぜ僕に決めてくださったんですか?って聞いたら、「新のように素直で真っ直ぐな人柄を感じて決めました」とおっしゃってました(照笑)。

――瀬名監督は一緒に仕事をしてみて、どんな方だと思いましたか?

第一に、愛のある素敵な方だな、という印象があります。作品やキャラクターに対してはもちろんなんですけど、それを演じる僕らに対しても愛をくださる方です。

ラストシーンのアフレコのとき、最初、監督はベースの方にいたんですけど、いよいよラストシーンを録る、ってなったときに、僕と松本さんがいる録音ブースの方へ来てくださって。それで、ベースとブースをつなぐ音を切って、3人だけで話す時間を作ってくださいました。

そこで改めてこの作品に対する想いや、僕らへの想いを話してくださって、瀬名さんのこの作品へ懸ける想いをひしひしと感じて。絶対に瀬名さんの期待に応えたい、という、その一心で挑みました。

©「君は彼方」製作委員会

――主人公・澪はどんな人だと感じましたか?

めちゃめちゃ共感できました(笑)。澪は誰もが感じることを体現しているキャラクターだと思います。言葉にしないといけないことを、面倒くさいとか、恥ずかしいと思って避けてしまうところとか。

――演じた松本さんはわりと思ったことをはっきりと伝えるタイプみたいですが。

そうらしいですね(笑)。なので、そこは新と澪とは逆で、僕の方が澪に似ていて、松本さんの方が新に似ているのかなと思います。でも、自分の気持ちを伝えるのが恥ずかしい、と感じてしまう人の方が多数だと思うので、観る方は澪に共感してもらえると思います。

――松本さんの印象も教えてください。

僕の中でイメージをしていた澪の声が、松本さんの声そのものだったで、一緒にアフレコをして、その第一声を聞いた瞬間に「うわっ!澪だ!」って思いました。

僕は声優のお仕事が初めてでしたが、松本さんは経験者ということもあって、さすがだな、と思う部分がありました。僕はしがみついていくだけで精一杯でした(苦笑)。

2人のシーンを録る前に、瀬名監督が「エチュードをしよう」と言ってくださって。それでデートシーンを声だけじゃなくて、動きもつけてやるという時間があったので、そこでコミュニケーションも取れて緊張も解れました。監督には本当に感謝です。それをやれたか、やれなかったかで、たぶん劇中のデートシーンも変わってきたと思うので、良かったな、と思いました。