誰かをかばっているの!?謎が謎を呼び状況が混沌
――本選は神戸の洋館で撮影されたそうですね。
浅川 あれは本当に贅沢でした。「マーダーミステリー」をあんなにちゃんとした場所でやることはそうそうないし、カメラマンさんが私たちの視界に入らないような丁寧な撮影をしてくださったんです。まあ、柱から急にカメラマンが出てきたときにはビックリしましたけどね(笑)。
――柱から急に出てきた?
浅川 はい。もともと洋館にはない柱を作って、その中にカメラマンさんが隠れていたから、幽霊を見たんじゃないか? と思ってビックリしました(笑)。
ちなつ 私は館に行くまでは、緊張が100パーセントみたいな感じだったんですよ。でも、館に行ってみたら景色は綺麗だし、私の演じる美鈴はこんな素敵な館に住んでいるんだと思って、テンションが上がりっ放しでした(笑)。
はなむら 私はすべてが初めてだったので、心臓が口から出るん違うって思うぐらい本当に緊張していて、もう、てんやわんやだったんです(笑)。
でも、スタッフさんやほかの役者さんたちがみんな気を遣ってくださって、みんなに支えてもらったおかげで、前向きにお芝居ができるようになって。感謝の言葉しかないですね。
――自分から仕掛けていって、情報を上手く引き出すことができたり、いい流れに持っていけたようなことはありましたか?
浅川 私は、ある密談が上手くいったときに“よし、やった~!”と思いました。しかも、その密談がその後の展開にも繋がって、すべてがいいタイミングだったので、うまく演じられたなと思いました(笑)。
はなむら 私はある人に私が握る秘密で詰め寄ったんですが、「知りません」「やってません」の一点張りだったので、話がまったく進まなくて。
演じていた占い師の白鳥の中にいるはなむらちこも「ここまで言いはるんやから、本当にやってへんのと違う?」って言い出したぐらい、全然探れなかった。しかも、その話を美鈴さんとしていた時に執事の熊田(清水宏)が入ってきたから大変でした(笑)。
ちなつ いきなり割り込んできたんですよね(笑)。
はなむら そうそう。「そもそも占い師なんて信じてないし」みたいなところから話を始めて、人生論的なことで詰め寄ってきたんです。でも、そこで言い返したら、占い師だけに言葉が臭くなるなと思ったので、「うんうん」ってうなづくしかなくて。
そしたら最終的に、美鈴さんも熊田さんにのっちゃって「、「え~、さっきまで一緒に疑ってたやん!」って言い続けるしかなかったですね(笑)。
浅川 (爆笑)。なんか、館側の4人(小説家の蛍原晃、晃の妻の美鈴、執事の熊田、家政婦の馬場)と外から来た3人(記者の竜崎、占い師の白鳥、イラストレーターの猪又)の対立構造が、感情的な面も含めて自然に出来上がっていましたよね。
ちなつ 確かに、確かに。
浅川 館側の人たちは私たちじゃない、絶対に外から来た誰かの犯行だという結託感があって。館の人間は絶対に疑わないぞ! というスタンスになんとなくなっていたような気がします。
何人かが次々に「私が殺した!」と言い出すから焦った
――ほかにも誰かに何か想定外のことを仕掛けられて、戸惑ったり、芝居が止まりそうになったようなことはなかったですか?
はなむら 途中からみんな「自分がやった」って次々に言い出したじゃないですか? 確か、何人かが「やった」って言いましたよね(笑)。
浅川 そんな展開は『オリエント急行殺人事件』以来ですよ(笑)。
はなむら それで私もマジか!? と思っていたら(笑)、最後に○○さんまで「私がやりました」と言って涙で回収していたから、あれにはめっちゃ焦りました(笑)。
――7人でひとつの物語を作っていく楽しさも味わえました?
浅川 7人で台本のない物語を作っていくので、普通のドラマやお芝居より、役者同士の繋がりは深くなったような気がします。
セリフも台本に書かれたものではない、その人が考えた、その人の人生に裏打ちされた言葉だったりするので、聞いたときの重みがやっぱり違いました。そこが面白かったですね。
はなむら やるまでは、みんなでひとつの目標に向かって動いていくことが重要だと思っていたんですけど、始まったら、みんな、えっ、そこ行く? みたいな動き方をするし、あっちでもこっちでも泣いているからワケが分からなくなって(笑)。気持ち的には必死についていこうとしたけれど、自分が用意していたものも出せないし、けっこう呆然としている顔が多かったような気がします。
でも、それも含めて、私ひとりじゃ絶対に生まれなかった、この7人だから生まれた物語。いい意味で、もう二度で味わえないものなんだろうな~という特別なものを感じました。
ちなつ 私は演技レッスンで仮想で想定して何度も何度もやったお芝居を実際の館でやる時間がすごく楽しくて、収録時間の3時間が本当に一瞬に感じられました。美鈴とみんなで過ごした時間があまりにも素敵で、幸せ過ぎたから、終わってしまったいまはちょっと恋しいです。