体感型ゲーム「マーダーミステリー」と新人発掘オーディションを合体させてドラマを作る! その意表をついた発想はどこから生まれたのか?
その狙いと実際にON AIRされるドラマはどんな仕上がりになるのが?
その真相に迫るべく、マーダーミステリー伝道師の眞形隆之氏と「M-1グランプリ」「ポツンと一軒家」などのヒット番組で知られる朝日放送テレビのプロデューサー桒山哲治氏を直撃!
「マーダーミステリーゲーム」の面白さとともに、前代未聞の新ドラマ『マーダー★ミステリー~探偵・斑目瑞男の事件簿~』の構想をたっぷり語ってもらいました。
CHAPTER 1 企画の始まりと狙い
── 「マーダーミステリー」に新人俳優発掘オーディションの要素をプラスした、今回の『マーダー★ミステリー~探偵・斑目瑞男の事件簿~』の企画はどうやって生まれたんですか?
眞形 最初は単純に「マーダーミステリー」を番組にしたいと思っただけなんですけど、ゲームで遊んでいる人たちをただ映しても面白くない。
そんな時に桒山さんたちと話しているうちに、「M-1グランプリ」のヒリヒリした真剣勝負を「マーダーミステリー」と融合させられないかと。役者たちの演技バトルの要素を加えたら面白いものになるんじゃないかな? と考え、形になっていった感じですね。
学生演劇の経験もある桒山さんも「めっちゃ面白い」ってノリノリでしたね(笑)。
桒山 いちばん最初に「マーダーミステリー」のゲームを体験させてもらったら面白かったんです。
それで、この面白さを世の中の人たちに上手く伝えるにはどうしたらいいんだろう? という話し合いを続けていく中で、「真剣勝負の要素を入れてみては?」というアイデアが出て。
仲よしの友だち同士ではなく、オーディションのゲームバトルを勝ち上がった7人が魅せる演技で「マーダーミステリー」をやったら、ドラマチックなストーリーが出来上がるんじゃないかなと思ったんです。
眞形 僕は日本でいちばん大きい「人狼ゲーム」の主宰でもあるんですけど、「人狼ゲーム」はイヤな奴大会になることが多いんですよね。
「オマエ、喋るな!」と言う人がいたり、すごい大喧嘩にもなって「もう、やりたくない」ってやめちゃう人もいたんですけど、僕はそれが悲しくて。その解決方法が、物語を入れることだったんです。
物語を入れることによってゲームがマイルドになり、人狼だと思った相手に対しても演技で接するから喧嘩をしなくなったんです。
今回はその時と逆のバターンですけど、あるものに別の何かを足すと何かしらの化学反応が起こることは分かっていて、それが今回の場合は“真剣勝負”だった。でも、「M-1グランプリ」をやった桒山さんたちじゃなかったら、この企画は成立なかったかもしれないですね。
桒山 僕の中にはワクワクしかなかったですね。番組をテレビでON AIRするだけではなく、ほかの応募者たちも熾烈な演技バトルを繰り広げる第二次選考のオーディション風景を配信したり、ゲーム化や舞台化などその後の展開も期待できて。
特番の企画を考えていてもそんなにワクワクすることはないんですけど、これ、ひょっとしたら日本中で大ブームになるんじゃないの?っていう興奮を覚えたんです(笑)。
CHAPTER 2 第二次選考も「マーダーミステリー」で演技を審査
── 今回は第一次選考の動画審査で選ばれた70人が10組に分かれ、それぞれのチームの7人が探偵や執事、降霊術師、カメラマンなどを演じながら、その中にいる犯人を暴いていく「マーダーミステリーゲーム」そのものが第二次選考でした。
選考されてみて、どんな手応えや感想をお持ちですか?
桒山 殺人事件が起きるまでのプロセスとそれぞれの人物のキャラクターや設定がよくできていたから、どのチームも魅力的でした。
中でも(筆者が見せてもらった)このチームの7人はそれぞれ自分の役割を理解して、見せ場をちゃんと作っていたから、笑いあり、涙ありのドラマチックで華やかな内容になっていたと思います。
眞形 正直、見ていて面白いチームと面白くないチームがあるんですけど、いまのは面白い回でした。
なぜ面白いかと言うと、演技がちゃんとできている人や演技をしている時間が長い人が多かったから。
逆に、つまらないチームの人たちはゲームをしちゃっていて、それぞれの役の秘密や嘘などの情報を開示しない。
秘密のままだと話が動かないから退屈だし、ボードゲームをただやっているだけになってしまうから、そんなものを見せられても別に面白くないんです。
桒山 面白くないチームは明かされる真実が後半の4分の1に詰まっちゃうことも多いんですけど、いまの回は前半でも中盤でもバランスよく真実が分かる展開になっていたから惹きつけられました。
眞形 ウイルスじゃないですけど、ゲーム、ゲームしているような人がひとり入ると感染して、チーム全体がゲームしているような感じになる。
逆に演技が多いチームは、そのいい流れに乗ってほかの人たちの面白い芝居も引き出すことになるんです。
桒山 7人の中に1人か2人、「マーダーミステリーゲーム」の経験者がいた方が話の展開が早い印象がありましたね。
眞形 そうですね。初めてやる人はどのタイミングで何をしたらいいのか分からないから、動きが遅い。
「マーダーミステリーゲーム」慣れしている人はやっぱり勘がいいのか、予め用意してあるヒントが書かれたカードも自分のリズムでパパパッて取りに行くし、無駄な動きをしない。そこの差はあると思います。