次世代の体験型ゲームと新人発掘オーディションを合体させた、新感覚ミステリー『マーダー★ミステリー~探偵・斑目瑞男の事件簿~』。
その放送を記念して、自ら「マーダー・ミステリー伝道師」と名乗る番組の企画者・眞形隆之(@newmagata)と、大のゲームフリークで、6チームに分かれた総勢36名がステージで「MM」の頭脳戦を炸裂させる超絶舞台「マーダーミステリーシアター『演技の代償』」に出演するゴールデンボンバーの歌広場淳(@junjunmjgirly)の緊急対談が実現!
芸能人にもファンが多く、巷で大いに盛り上がっているものの、まだまだ一般の人たちには浸透していない「マーダーミステリー」の魅力と面白さを、ふたりがやったことのない人にも分かるように熱く語り合った。
「マーダーミステリー」との運命的な出会いは2年前
――おふたりが最初に「マーダーミステリー(以後はMMと表記)」と出会ったのはいつですか?
歌広場 ゲーム好きの友だちから2018年ぐらいに話を聞いて、僕も「人狼ゲーム」や「リアル脱出ゲーム」が好きだったから「何、それ?」ってすぐに食いついたのが最初です。でも、実際にプレイしたのは昨年ですね。
眞形 僕がその存在を知ったのも2年前の春先ぐらいです。
東京の東中野にあるボードゲーム・カフェ「ディアシュピール」がツイッターで「MMをやります」って呟いて、それを見た「人狼ゲーム」界隈の人たちがザワザワ言い出したので『王府百年』という中国の「MM」を日本語に翻訳したものをいちばん最初にやりました。
恐らく、『王府百年』が日本で最初にプレイされた「MM」だと思います。
歌広場 僕が最初にやったのは『ランドルフ・ローレンスの追憶』というシナリオの作品。
未だに「全シナリオの中でNo.1」とか「満足度がいちばん高い」と言われている作品ですけど、それをいちばん最初にやっちゃったんです。
眞形 僕も『ランドルフ・ローレンスの追憶』はけっこう早めにやらせてもらいましたが、いまアンケートをとっても間違いなく第1位になる、すごく面白いシナリオです。
制作したのは福岡のゲームクリエイター・じゃんきちさんですけど、ほかの「MM」とはちょっと別格ですね。
歌広場 これは異論があってもいいと思うんですけど、僕も「オンリーワン」で「No.1」だと思っています。
そんなシナリオといきなり出会ってしまったから、そのせいで僕は人生がちょっと変わってしまったんですけど、逆に最初にプレイしたのが『ランドルフ・ローレンスの追憶』じゃなかったら「MM」にハマらなかったかもしれないので、その出会いにはすごく感謝しています。
周りの人には「絶対にやった方がいい!」としか言えない
――どんなところが、ほかの「MM」と違うんですか?
歌広場 僕はそれが初プレイだったので、眞形さんがいま言われた「別格」という感想は持たなかったんですけど、一緒にやった「MM」経験者の方たちは「こんなの初めて!」ってみなさん言われていて。
「こんなの初めて!」なんて、手練れの女性でもあまり言わないと思うんですよ(笑)。
だから、僕はその言葉にすごく感動しちゃったし、そのときは逆に“普通って何?”って思ったんですよね。
眞形(爆笑)
歌広場 いまはその違いが分かりますよ。でも、そこを説明しようと思うと、内容に触れなければいけなくなるんですけど、それはネタバレに繋がって、これからプレイする人たちの楽しみを奪ってしまうことになる。
だから、周りの人には「絶対にやった方がいい!」としか言えない。
そこが、「MM」が普及し難い理由だと思っているので、今日の対談では「MM」を普及させることを明確な目的にはしますけど、同時に、「MM」の構造自体が普及し難いものになっているという問題を定義できればいいなと思っています。
――いまのところは口コミが頼りというわけですね。
歌広場 そう思います。SNSがこれだけ発達しても、いちばん信用できるのは自分が信頼している人や尊敬できる人が薦めてくれたものですよ。
僕も“この人たちが薦めるんだったら”と思っている友人たちから「“ランドルフ・ローレンス”はスゴいよ!」って言われたからやったし、実際彼らと同じように“スゴかった”という印象を持ったので、ほかの「MM」もやるようになったんです。
演じるのではなく、“その人”になりきってしまう
――何がスゴかったんですか? どうしてそこまでハマったんですか?
歌広場 ふふふ(不適な笑い)、これはですね~「MM」をどれぐらい楽しめるのか? という話に繋がってくるんですけど、僕は“ランドルフ・ローレンス”をやったときに、自分でも気づかないうちに演じてしまっていて、自分でも気づかないうちに与えられたキャラクターになっていたんです。
――なぜ、そうなっちゃったんですか?
歌広場 それは……言えません(笑)。
眞形 観客としてただ観るだけの舞台や映画などと違って、「MM」は自分が与えられた人物を演じるので、没入感が全然違うんです。
歌広場 “ランドルフ・ローレンス”の場合は特に、その没入感がほかの「MM」のレベルを超えてくるんです。
役を与えられて「あ~、なるほど。僕の役はこういう役なんですね。はいはい、これを演じればいいんですね」って感じじゃないんですよ!
眞形 そんな感じですね(笑)。
歌広場 そこが一般的な「MM」との違いなんですけど、その感覚を言葉にするのは難しいし、やった人だけの特権。僕のいまの発言を読んで“どういうことなんだ?”と興味を持った人に「やりたくなってください」と言うしかないんです(笑)。
死ぬほど泣いた(笑)。人生が変わりました
――歌広場さんは“ランドルフ・ローレンス”に相当影響を受けたみたいですね。
歌広場 そうですね。人生が変わりました。「演じるということは、その人の人生を生きることだ」みたいな言葉をよく聞くじゃないんですか?
舞台俳優さんの千秋楽の挨拶で「今回、この役を生きられて幸せでした」って言われるのをよく聞くけれど、それまでの僕は“何のこっちゃ”って思っていたんです。
眞形 それは演じた経験がなかったからですね。
歌広場 はい。そんな僕が、ほかの人の人生を生きられちゃった!っていうことにまず感動したんです。
僕の場合、その感動を“ランドルフ・ローレンス”で体験したので、もう、ほかの「MM」では代わりが利かないんです。
“ランドルフ・ローレンス”では、死ぬほど泣いたぐらいですから(笑)。
眞形 僕は泣かなかったけど、一緒にやったメンバーには号泣する人が続出でした。
ゲームで泣くって、それが、どれだけスゴいことなのか?って思います。
歌広場 僕の好きな言葉に「作家は感情移入で人を殺す」というものがあるんです。
力のある小説を読むと、読者は登場人物の心の痛みをまるで自分の痛みのように感じ、それが読み進める原動力になると思うんです。
ということは、作者は読み手の感情を操作しているわけですし、極端なことを言えば、読者は自分が感情移入した登場人物が死んだときに一緒に死んでしまう可能性だってある。
それは力のある作品にしか起こせない現象ですけど、“ランドルフ・ローレンス”をやったときの僕は、知らない間に、それぐらい自分に与えられたキャラクターに感情移入していた。
ゲームをやりながら、そんなことを経験したことはもちろんいままでなかったんです。