センス、感覚、技術がないと通用しない。大劇場で“勝負の時”

藤原季節

――小劇場での演劇経験とはまた別の、多くの新たな発見をされているように感じます。

今までやってきたものとは全然違いますね。

全身で舞台に立った時、その重心のかけ方にその人の精神力や意志、生活とか、いろんなものが立ち上がってくるように感じます。

舞台って、何を考えているのかがバレてしまう空間なんだなと。

これまでいろんな舞台作品を観て来て、どこかで“自分も通用するんじゃないか”と思っていたんですね。自分なりに、それを目標に突っ走って来たところがあって。

でも実際にこうして大劇場の舞台に立てる時が来て、自分の考えが甘かったことを痛感しています。

センスや感覚はもちろんのこと、しかるべき技術を持っていないと通用しない世界なんだなと。

それがわかったうえで、本番までの残りの数週間でどこまで作品世界に近づけるか、僕自身の勝負だと感じています。

――藤原さんの“勝負の時”を、観客の皆さんも楽しみにしていることと思います。

お客さんには、ただ楽しんでもらいたいという一言に尽きますね。

僕も『No.9』を観た時に、舞台芸術の力を実感しました。一人ひとりが躍動感を持ってベートーヴェンの物語を立ち上げている、そのことに深い感動を覚えて。

観終わった後、自分の中に少しだけ変化があったというか、自分が信じている世界は間違ってなかった……といった、舞台芸術に対する自信のようなものを、あらためて感じました。

『サンソン』は民衆の物語でもあって、キャスト一人ひとりがフランス革命の時代のうねりを体現しようと、必死に旗を振り回しています。

その姿を見て、何かを感じ取っていただけたら。お客さんも必死に楽しんでいただきたいですね。

舞台『サンソンールイ16世の首を刎ねた男ー』

公演情報

舞台『サンソンールイ16世の首を刎ねた男ー』
演出:白井晃
劇作・脚本:中島かずき
音楽:三宅純
原作:安達正勝『死刑執行人サンソン』(集英社新書刊)
坂本眞一『イノサン』に謝意を表して

出演:稲垣吾郎 /中村橋之助
橋本 淳 牧島 輝 落合モトキ 藤原季節 清水葉月
智順 藤田秀世 有川マコト 松澤一之
田山涼成 / 榎木孝明 他

【東京公演】
2021年4月23日(金)~2021年5月9日(日)
会場:東京建物ブリリアホール

【大阪公演】
2021年5月21日(金)~2021年5月24日(月)
会場:オリックス劇場

【福岡公演】
2021年6月11日(金)~2021年6月13日(日)
会場:久留米シティプラザ