黒羽さんは兄貴肌(甲斐)、甲斐君は真っ白なロミオ(黒羽)

左から 甲斐翔真、黒羽麻璃央 撮影:渡邊明音

――ご自身が演じるロミオは、どんなところを大切にして、どんな風に役を作っていきたいと思っていますか。

黒羽 難しいですね……。正直なところ、まわりとの関係性含め、どんなロミオになるか、自分も楽しみにしている段階です。

でも皆さん、漠然と“ロミオ像”というものをお持ちですよね。自分の中にももちろんあります。

そこは押さえつつ、どうしたら作品の中でロミオがより生き生きとできるか、そして作品をより面白くするためにはどう存在すべきかを模索しています。でも“キラキラ感”は忘れずにやっていきたいですね!

甲斐 僕は、いかに最後のロミオとジュリエットの死が尊いものになるかに重きをおきたい。そのためには、それまでのプロセス……ふたりの関係性やロミオという人物像を、いかに膨らませていけるかにかかっていると思うので。

まだ具体的に言うのは難しいのですが、とにかくふたりのことを愛しく思ってもらえるように頑張りたいと思っています。

――せっかくのWキャストですので、お互いのロミオはこうなっていくだろうな、自分とはこういうところが違いそうだな、というポイントも教えていただければ!

甲斐 パーマ系ロミオ……。

黒羽 それ、僕の見た目やん(笑)!

甲斐 (笑)。でも、このあいだ稽古場で思ったのは、黒羽さんは兄貴肌というか、仲間たちから頼られそうなロミオだなと。マーキューシオとベンヴォーリオとのシーンを見ていて、そう思いました。

黒羽 へぇ~。それは、僕が前回も出ていてミザンス(舞台上での役者の立ち位置)を覚えていたから、兄貴風を吹かせていただけじゃない(笑)?

甲斐 いえ、佇まいや空気感からそう感じたんです!

黒羽 そっかー。僕は、甲斐君のロミオは“真っ白なロミオ”になるなと思っています。変な着色料の入っていないロミオ。水とか、白とか。

そういう無垢なロミオだからこそ、ジュリエットへの愛情がめちゃめちゃ真っ直ぐなものになりそうだな、と。……あと補足しておきますと、僕も髪の毛はこんなくるくるではないと思います(笑)。

甲斐 もう少しさらっと?

黒羽 さらっと。王子さま(的キャラクター)にならないといけないからね!

左から 甲斐翔真、黒羽麻璃央 撮影:渡邊明音

――この物語、悲恋とも取れますし、ロミオとジュリエットは死をもって愛を成就させた、とも受け取れます。物語の骨格は誰もが知っている有名なものですが、人によって様々な解釈ができる。おふたりはどう捉えていますか。

黒羽 うーん……、〈未熟な人間たちが導き出した“真実の愛”〉みたいなところかな。ロミオとジュリエットといった子どもたちはもちろん、大人も含めみんな未熟。

自分たちのプライドや立場が邪魔をして手を取り合うことができなかった人たちが、それこそ人間としてはまだまだ未熟なロミオとジュリエットが提示した真実の愛によって、自分たちの過ちに気付き、平和が訪れる。

僕個人としては、死ななくてもできることがあったのでは、結局死んでしまったらおしまいじゃないかなと思うのですが。でも家同士が争うようなことを僕は知らない世代ですから、何とも言えませんね。

うん、未熟な者たちが産んだ真実の愛、という面は大きいと思います。

甲斐 そうですね……僕は、〈死を超えた愛〉、かな。

黒羽 いいね、シンプル。わかりやすい。

甲斐 死さえも超えてしまうくらいの、死なんて怖くないって思ってしまうくらいの愛、それを描いた物語ですね。

黒羽 完璧じゃない!? この先100年くらい、そのキャッチコピーでいけそう!

僕もロミオ一年生。甲斐君と一緒に歩んでいけたら(黒羽)

――最後に、なかなか劇場に行くのも躊躇する方もいらっしゃる昨今ですが、でもそんな中でも劇場に来たお客さまは、どんな気持ちを持ち帰ることができる作品になりそうでしょうか? ぜひ、お客さまにメッセージを。

黒羽 “愛”というのがひとつの大きなテーマとしてある作品です。この作品をご覧になっていただけたら、自分が愛する人……恋人でも友人でも家族でも、自分が愛情を注いでいる人に対して、もっと愛情深くなる、もっと愛することをしたくなる、そんな気持ちになると思います。

なかなか会いたい人にも会えない状況だと思いますが、自分の持っている愛情をさらに深く感じる作品になっていると思うので、少し皮肉かもしれませんが、こういう時代にはぴったり。

そして、そういったメッセージ性だけでなく、楽曲も本当に素敵なものが多く、総合エンタテインメントとしてとても素晴らしい作品ですので、日頃のストレス発散にもいいのでは(笑)。ぜひ、観にいらしてください!

甲斐 この作品を観終わったとき、僕は、意外と“死”ってすぐ近くにあるんだな、と思う気がします。たった数日で、普通の少年少女が死に追いやられてしまうストーリー。

特に今の日本は平和で、新型コロナウイルスの問題はありますが、戦争もなくテロなどもめったに起きない。でもそんな僕らのそばにも死はあって、「もうちょっとあの人のことを大切にしていればよかった、もっと愛していればよかった」と思う時は絶対来ると思うんです。

改めて、そういうものをいかに大事にして生きていけるか、自分を戒められる。死が強調されているからこそ愛が浮き彫りになる作品です。その中で僕は、黒羽さんとともに、頼りあって、戦友としてロミオを務めていきたいです。

黒羽 うん、僕もロミオ一年生。初めてこの作品に参加するつもりでやっています。甲斐君と一緒に、ロミオとして歩んでいけたらと思います。

左から 甲斐翔真、黒羽麻璃央 撮影:渡邊明音

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公演情報

ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
原作:ウィリアム・シェイクスピア
作:ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出:小池修一郎(宝塚歌劇団)
出演:黒羽麻璃央/甲斐翔真(Wキャスト) 伊原六花/天翔愛(Wキャスト)
味方良介/前田公輝(Wキャスト) 新里宏太/大久保祥太郎(Wキャスト) 立石俊樹/吉田広大(Wキャスト)
春野寿美礼 原田薫 石井一孝 宮川浩 秋園美緒 兼崎健太郎 岡幸二郎 松村雄基
小尻健太/堀内將平<K-BALLET COMPANY>(Wキャスト) 他
※小尻健太の「尻」の字は、正しくは旧字体です。

【東京公演】
2021年5月21日(金)~6月13日(日)
会場:TBS赤坂ACTシアター

【大阪公演】
2021年7月3日(土)~7月11日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール

【愛知公演】
2021年7月17日(土)~18日(日)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール

※詳細は公式サイトをご確認ください。