人を好きになるときは、「気づいたら好きになっていた」ということが多い
――細田さんは、もじくんはいつから朔田さんに好意を持ったと思っていましたか?
どの辺なんでしょうね? 台本に書かれていなかったので、どこって言われると難しいです。ただ、(水泳部の)朔田さんが耳に入ってしまった水が取れなくて、2人で一緒にトントントンって(水を出す動きを)やる場面があって、たぶん、あの水はすぐには取れなくて、しばらくは気になっていて。
沖田さんからは、そこが朔田さんともじくんがお互いを想い始めた最初だったんじゃないか、と言われました。けど、そこからの気持ちの変化は、特にここがきっかけとかは決めていなくて、自然と2人での時間を過ごしていくなかで、最終的な流れになったのだと思います。
僕自身が人を好きになるときのことも考えたんですけど、最初は異性だとしても友人関係から入って、気付いたら好きになっていた、ということが多くて。あとから「じゃあ、いつから好きになっていたんだろう?」って考えても、いつも見つからないんです。
何かキュンとする仕草をされたとか、相手からの好意を感じたとか、特別なものを感じたことが一回もなくて。そう考えると朔田さんともじくんの関係は、リアルなのかな、って。逆に“ここから”というものがなかったからこそ、ナチュラルにやれたのかな、とも思います。
――監督からの演出で印象に残っていることはありますか?
リハーサル期間から一貫して「細田くん自身でいてほしい」とは言われていました。
クランクインのとき、緊張もあってすごく力んでしまったカットがあって。そのときに沖田さんから「もう1回やろう」と言われて、僕が力んでしまうと、それが全部もじくんとして出てしまうんだな、と気づいて。
「ナチュラルに、力まず、細田くん自身でいてほしい」とも言われたので、ナチュラルの言葉の意味を考えたりもしました。
――でも“細田くん自身”って難しそうですよね。自分のことが自分でわかっていないといけない、というか。
そうなんです。だから難しかったです。「俺っぽくやるって何なんだろう」って。だって、もじくんはもじくんであって、僕ではないので。だからそこがわからなくなってしまったときもありました。
――それはどのように解消したのですか?
具体的にこれをしたから、というものはなくて。撮影をしてく中でシーンを重ねて、もじくんとして朔田さんと話をしていくことで、その空気感から自然とできていったのかな、と思います。