「自分の声好きッ!」っていう人は、私がこれまで生きてきた中で、確かにないですね(笑)。やっぱり、自分の身体の中で響いている声と、人が聞いている声とでは、また違うことが多いじゃないですか。

とも(河西智美)も、自分の声にすごくコンプレックスを持っていたことがあって、海外に行って、歌の勉強をしていた時期があったのは、前にもお話しましたよね。(第32回)

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彼女と、声の話や、舞台やミュージカルで演じるときの話をよくするんです。

私が「自分のしゃべる声も歌声も好きじゃない」って話すと、彼女は「でも特徴がない声はつまらないよ。何も響いてこない」って話してくれて、
 「佐江の声って目をつぶっていても“佐江が話してる”って分かるし、大人数で歌っていても “佐江がどこを歌っている”って分かるよ。それってすごいことでいいことじゃない?」って。
 
確かに私たちがいた頃のAKBグループの歌って「この部分は誰が歌っている」っていうのがちゃんと分かるんです。それぞれの声質に特徴があったから個々が引き立っていたし、それがグループの曲が愛された理由のひとつだったかもしれないねって、ともと話していてすごく思いました。

--確かに、人と違う自分の特徴は「嫌い」になることもあるかもしれませんね。でも、人と違うからこそ、むしろそこが「響く理由」にもなるというか。

逆に全員が同じ声では、歌詞やメロディーも聞く人の中に入ってきづらいんじゃないかなって。ともに励まされて“自分の声が嫌いって思いすぎちゃダメなんだな”って思えました。私の背中を押してくれたひと言です。

--「コンプレックスはむしろ、強みだよ」って、教えてくれたんですね。

“そっか、そうだよね!”って、シンプルに思っちゃいました(笑)

--とってもいい話ですね。最後になりましたが、秋も深くなって寒さも感じるこの頃、体調崩さないよう、のど、声も大切にしてくださいね。それでは今回もたくさんのお話ありがとうございました。また、次回もよろしくお願いします。

はい! ありがとうございました。

次回の更新は、2021/11/26(金)予定です。

撮影:増田慶 スタイリング: 藤井エヴィ ヘア&メイク:池戸朝都

1990年8月13日生まれ。東京都出身。O型。AKB48のメンバーとして活躍。2016年4月1日に旧チームK特別記念公演でグループを卒業。『王家の紋章』、ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』、『TOKYO TRIBE』、ユーミン×帝劇vol.3『朝陽の中で微笑んで』、地球ゴージャス プロデュース公演 Vol.15『ZEROTOPIA』、『ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」Season2』などに出演。連載から生まれた書籍「これさえあれば。」が発売中。Official

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