『Q』:A Night At The Kabuki キービジュアル

そしてクイーンの『オペラ座の夜』全12曲分の原盤の音源およびライブ盤のレコーディングトラックを公式に使用した音楽は、演劇ファンのみならず音楽ファン、クイーンファンの感性をも刺激する。

フレディ・マーキュリーのピアノソロ、ブライアン・メイのギター、ジョン・ディーコンのベース、低音でリズムを刻むロジャー・テイラーのバスドラム、ライブ盤に納められた観客の歓声……。どのシーンでどんな サウンドが鳴らされるのか?

「曲の一部分を使う。ギターのトラックだけを抜き取る。フレーズのループを作る。こちらからのリクエストに対して、クイーン側からのNGは一つもありませんでした」と語る、サウンドデザインを手がける音楽家・原摩利彦による、『オペラ座の夜』の魅力を余すこと無く使い尽くした音楽も本作の大きな魅力のひとつだ。

初演の東京公演を来日観劇したクイーンの伝説的マネージャーのジム・ビーチが絶賛したことで、クイーンのお膝元であるロンドン公演の計画が動き始めたという今回のワールド・ツアー企画。

野田はコメントで、コロナ禍で英国公演をあきらめかけていたところにサドラーズ・ウェルズ・シアターから声がかかったという事にふれ、「初演時からこの海外公演を含めた再演時まで伝説関係に助けられて、華ひらいている舞台です」と綴っている。

7月29日から東京で46ステージ、10月7日から大阪で13ステージを公演。さらに海外公演では『A Night At The Kabuki』と題して、ロンドン、台北を巡り、クイーン×野田秀樹×演劇界最強のドリームメンバーが世界4都市を席巻するワールド・ツアーが実現する。

激しく対立する源氏と平家。その戦禍、たった5日間――432,000秒の恋に身を焦がす若き瑯壬生と愁里愛。人間の愛、憎悪、友情、裏切り、予言、そして運命の翻弄、時代の悲哀……クイーンの名曲が彩る幾つものファクターが複雑に交錯し、スリリングな展開を見せる『Q』:A Night At The Kabuki は果たして今回どのようなバージョンアップを遂げるのか。

日本の演劇史のみならず世界のエンタテインメント史に新たな1ページを刻むNODA・MAP『Q』:A Night At The Kabuki に期待しよう。